本文の中であまり説明しないで使うことの多いことばについて,簡単に説明しておきます。
この機会に,このメルマガでほとんど何の断わりもなく使っている暦について 簡単に触れておきます。よく出てくるグレゴリオ暦,ユリウス暦,旧暦につい てです。 グレゴリオ暦は現行の暦で,太陽暦のひとつです。“もうひとつの2000年問 題”で話題になったので比較的広く知られるようになりましたが, 西暦年が4で割り切れる年を閏年とする。ただし,100で割り切れても400 で割り切れない年は閏年としない。 というものです。この規則では400年に閏年が97回ありますから,1年は平均 ((365 * (400 - 97)) + (366 * 97)) / 400 = 365.2425 日 となります。1太陽年,すなわち地球から太陽を見たときに太陽が基準点(春 分点)から天球を一周して再び基準点に戻ってくるまでの時間は平均365.2422 日ですから,およそ3300年で1日ズレる程度の誤差で,実用上は問題ありませ ん。 ユリウス暦はグレゴリオ暦の前に使われていた暦で,名前のとおりユリウス・ カエサルが使いはじめた暦です。ただし,通常ユリウス暦とよばれているのは カエサルの暦そのままではなく,アウグストゥスによって改暦されたものです。 この暦では西暦年が4で割り切れる年を閏年とします。したがって1年は平均 365.25日となり,約128太陽年ごとに1日ずつズレます。 これは無視できるズレではありません。実際,16世紀にはズレは積もり積もっ て10日あまりになり,他はどうでもいいとしても,キリスト教でもっとも重要 な復活祭の基準となる春分が10日もズレていることはキリスト教の権威に関わ る大問題でした。 そこで,1582年に当時のローマ教皇グレゴリオ13世によって導入されたのがグ レゴリオ暦というわけです。 この改暦はカトリック諸国ではすみやかに行なわれましたが,プロテスタント 諸国を含め他の国の導入はまちまちです(もちろんまだ導入していない国もあ ります)。日本では1873年に導入されました。導入の直接のキッカケは財政的 な理由といわれていますが,それがなくてもいずれ導入されていたことでしょ う。 この改暦以前に使われていた暦が旧暦です。太陰太陽暦とよばれる暦の一種で す。基本的には月の満ち欠けをもとにした暦ですが,これだけだと季節とズレ が生じるため,それを修正する仕組みが加えられています。その修正の基準と なるのが二十四節気です。二十四節気についてはそのうち書く機会もあるでし ょう。 最後に,旧暦を太陽暦に換算するとき,地球科学関係では一律にグレゴリオ暦 に換算することが多いようですが,このメルマガではおおむね15世紀以前はユ リウス暦に換算しています。筆者の趣味です。あしからず。(NoTenki.Exp077) |