稲村ジェーン

1950年8月30日09時に小笠原の西方海上で確認された熱帯性低気圧(当時の用語)が西北西に進み,9月1日15時に台風となりました。これがジェーン台風です。このときの中心気圧は975mbと推定されています。 台風は発達しながら北西~北北西に進み,2日15時に四国の南方海上に達したときには940mbまで発達しました。

このあたりで進路を北に変え,3日の午前中には室戸岬をかすめ,速度を速めながら正午ごろ神戸市垂水付近に上陸しました。神戸では3日12時10分に964.3mb,最大風速33.4m/s,最大瞬間風速47.6m/sを観測しました。

気圧の低下と吹き寄せる風の影響で,大阪での潮位は満潮面上2.1mに達したと推定され,これに満潮が重なったために,西大阪から兵庫県南東部にかけては一面の海と化しました。

ジェーン台風による被害は,死者336,不明172,負傷10930,住家破損56131,浸水166605などとなっています。

稲村ジェーン(1990年)という映画は,ジェーン台風のときに稲村ヶ崎にやってきたという伝説のビッグウェーブ「稲村ジェーン」を待つ1960年代中ごろの若者たちの夏を描いた映画(らしい)です。私はサーフィンには何の興味もないので,ホントに「稲村ジェーン」なるビッグウェーブがやってきたかどうかは知りませんし,波にも詳しくありませんが,ジェーン台風の発生位置や進路から考えると,とくにいい波がやってきたとは思えません。いい波をもたらしそうな台風なら他にいくらでもあったと思います。伝説はあくまで伝説でしょう。

某著名ミュージシャンが監督を務めたこの映画は,今では伝説ともいえる駄作中の駄作で,やはり天は二物を与えなかったとか,本来ならタダで見せるべきプロモーション映画をカネを取って見せるとはとんでもないとかいわれていました。映画の評判はともかくサントラ盤はバカ売れしたそうなので,某著名ミュージシャンはウッシッシッだったことでしょう。

1953年から女性名は日本国内では使われなくなりましたが,米国では使われ続けていて,気象庁も海外に台風情報を発信するときはこの女性名も記載していました。

ところが,台風とは比べものにならない異次元(ヤプールか(笑))の恐ろしさを持つ女性団体の圧力で,1979年の台風3号から男女名が交互に使われるようになりました。その後,2000年からはわけのわからないアジア名が使われるようになって現在に至っています。

なお,ジェーン台風については次もご覧ください。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ
にほんブログ村

※2015/09/03(Thu) リンク先追加