ダービーはなぜ5月下旬か

1956年の日本ダービーは6月3日に行なわれました。

この年は5月下旬から早くも前線が日本の南海上に貼りつき,九州南部では5月1日,九州北部では5月21日,中国では5月29日,近畿では5月24日に梅雨にはいりました。

ダービー前日の2日は雨。この雨のため東京六大学野球早慶戦が順延になりました。

ダービー当日,東京の天気予報は「くもり一時晴」。しかし予報は大ハズレ,朝から雨が降りはじめました。昼ごろからは降ったりやんだりになりましたが,早慶戦は2日続けての順延になりました。

ちなみに,6月1日に中華人民共和国中共)が気象管制を解き,暗号を使わずに平文で気象放送を送りはじめました。天気予報がもっと当たるようになる……という期待をもったニュースの直後の大ハズレでした。

ついでですが,日本もアメリカも太平洋戦争中は気象電報を暗号を使って送信していました。しかし末期になると,アメリカは航空機による観測データを暗号化しないで送るようになりました。完全に制空権を掌握していたため,航空機の位置を知られてもまったく危険がなかったからです。

ブリンカーをつけていないため話がズレましたが,こうして東京競馬場は2日続けて雨に見舞われ,ダービーは重馬場で迎えることになりました。人気を見てみると,NHK盃を勝ったキタノオーが1番人気,皐月賞馬ヘキラクが2番人気,ハクチカラが3番人気,オークスからの連闘で臨んだフエアマンナが4番人気でした。本来ならキタノオーが人気をかぶってもおかしくはなかったのですが,外ワクと道悪がきらわれたようです。

スタート直後,内からハクチカラ,タメトモ,ミナトリユウが飛び出し,外からはヘキラク,キタノオーが先団にとりつこうと内側に切れ込んできました。そしてこの2頭に押圧される形となったエンメイが転倒,これに躓いたトサタケヒロも転倒しました。トサタケヒロは人馬とも無事でしたが,エンメイは左肩胛骨を骨折して予後不良,鞍上の阿部正太郎騎手も再起不能の重傷を負いました。

これがダービー史上最大といわれる事故です。ちなみに,阿部正太郎騎手は騎手としては再起できませんでしたが,のちに調教師となり,加賀武見騎手を育てることになります。

これだけの事故にもかかわらず,スンナリと通過順どおりに確定,しかしキタノオーの勝尾騎手,ヘキラクの蛯名騎手には過怠金が課せられるという不可解な決定に納得しなかった人も多かったようです。また,馬主が吉川英治氏ということもあってか,当時の競馬にしては大きく伝えられました。このため,競馬史上はじめて事故調査のための審議会が開かれました。しかし,事故のようすがハッキリ写っているはずの新聞社のニュースフィルムが証拠として検討されないなど,はじめから結論は決まっていたようなもので,予想どおり「原因不明の事故」というウヤムヤ決着でした。吉川英治氏は事故そのもののショックというよりはこの不透明さにイヤ気がさして,馬主をやめたのでしょう。

その後,事故防止対策のひとつとして,ダービーの開催日を梅雨がはじまる前の5月末にという提案があり,これによってダービーの5月下旬開催が定着したといわれています。

しかし,この年の関東甲信地方の梅雨入りは6月9日で,エンメイの事故は梅雨にはいる前に起こっていたんですけどねえ……。

それはともかく,ダービーが5月下旬に行なわれる理由としてはこの説明が定着しています。

しかし,これは話の半分に過ぎません。

東京優駿(大)競走の施行日を見てみると,第1回の1932年から1937年までは4月に行なわれていて,従来の目黒競馬は4月に行なわれていたのでこれは当然の流れでしょう。しかし1938年に5月29日に行なわれてからはほぼ5月下旬~6月上旬に定着しています。なぜこの時期が選ばれたのでしょう? 1930~1940年代はいちばん嫌いな時期なので,調べる気になりません。どなたか,かわりにどうぞ。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

ダービーと台風

5月に台風が上陸することはあまりないし(以下に述べるようにまったくなかったわけではありません)東京優駿日本ダービー)は最近では5月の最終日曜日(または6月の第1日曜)に定着していることもあり,ダービーが台風の直撃を受けたことはありません。

直撃ではないにせよ史上最も台風の影響を受けたと思われるのが1965年5月30日のダービーです。

ダービーの直前の5月27日,潮岬の南方海上にある定点観測点付近を通って北東に65~85km/hの速い速度で進んできた台風6号が12時ごろ,東京湾をかすめて館山市付近に上陸しました。5月の台風上陸は1914年5月30日以来51年ぶりのことでした。

この台風と梅雨前線の影響で,東北地方南部から九州にかけて大雨となり,新幹線が全線不通となって雨に弱いことが暴露したほか,かなりの被害が出ました。

この日東京競馬場で行なわれたダービーの追い切りも強風雨の中,泥んこ馬場での追い切りとなりました。

台風警報下の“ダービー調教”なんていうのは前代未聞,今後も恐らくないだろう。二十七日の午前五時半から行なわれた東京競馬場での追い切りは,田植えのできそうな泥んこのダートコースで,全くの“責め馬?”だった。……
(1965.05.28日刊スポーツ)

レースももちろん,ビデオで見る限りものすごい不良馬場。もっとも,質のよくないモノクロフィルムのせいで実際よりも悪く見えているかもしれません。

先頭を走るキーストンの1頭だけ白いままの帽子が印象的です。前半1000m通過64.0秒の“タメ逃げ”でしたが,最後の200mに14.3秒かかっています。ダイコーターが詰め寄ったというよりは,終いバタバタになってしまったのでしょう。

最近では2003年があげられます。5月31日05時ごろ台風4号愛媛県宇和島市付近に上陸しました。上記の1965年の台風6号以来38年ぶりとなる5月の台風上陸です。翌6月1日にダービーが行なわれましたが,この台風から変わった低気圧と前線の影響による雨のため,馬場状態は重でした。府中のアメダスでは31~1日にかけて83mmの降水量が観測されています。

4角で各馬外をまわる中,エイシンチャンプと逃げたエースインザレースが最内をついたシーンをおぼえている人も多いでしょう。

あえて書くまでもなく,勝ったのはネオユニヴァース,鞍上はミルコ・デムーロでした。

今年のダービーはこのネオユニヴァースの初年度産駒アンライバルドが抜けた1番人気になりそうです。コケると面白いですねえ(笑) 皐月賞で同じネオユニヴァースの産駒のロジユニヴァースがコケたように。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

雷とダービー

今日14時25分現在,北は北海道から南は大東島まで,いろんなところに雷注意報が出ています。九州の上空に寒冷渦(上空5700mで-20℃以下)があって大気が不安定になっていますからね。

雷とダービーといえば,有名なのは1967年です。スタート約10分前に電光や雷鳴とともに雨が降りはじめ,どしゃ降りの中でダービーが行なわれました。詳しくは雷雨の中の日本ダービー(1967年) | Notenki Express 2014をご覧ください。

勝ったのはアサデンコウで,雷さまはちゃんとサインを送っていたわけですが,気づいた人がいたかどうか……(笑)

さて,1979年5月のことです。26~27日にかけて日本列島上空に寒気が流れ込み,あちこちで竜巻,降雹,落雷が起こりました。降雹は30府県,竜巻は埼玉・茨城の2県,落雷は13府県で被害がありました。

とくに目立つのが落雷による死傷事故です。9人が死亡し,8人がけがをしました。

26日は郡山でサッカーの試合中の大学生が雷の直撃を受けて死亡,神戸では野球の試合中に二塁を守っていた会社員がやはり直撃を受けて死亡しました。その他岡山,秋田,大阪の各府県で1人ずつ,この日だけで合わせて5人が落雷で死亡しています。

27日も,宮城県のゴルフ場で高さ12mの松の木への落雷の側撃で1人死亡,福島県浪江町では運動会の最中にPTA副会長が直撃を受けて死亡,尾瀬では登山者が死亡しました。

飛行機にも落雷がありました。27日16時半ごろ,大阪行きJALジャンボ機が羽田を離陸して間もなく左翼先端に落雷を受けましたが,支障がないとわかりそのまま大阪へ飛んでいきました。

ダービーは27日,こうした異常な天候の中で行なわれたわけです。しかしとくに天気の影響は見られず,カツラノハイセイコがリンドプルバンの猛追をハナ差しのぎきり,6年前の同じ日に3着に敗れ去った父の無念を晴らしました。

ついでに,ダービーや雷とは直接関係はありませんが,2人の女子大生が阿寒湖で手に手を取り合って心中,スナックのママ(39)が女子高生(16)に「彼との交際をヤメレ,ゴルァ」とナイフで腹を刺された――というような記事も当時の新聞にあります。

にほんブログ村 競馬ブログ 競馬コラムへ
にほんブログ村

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ
にほんブログ村

5月26日の日本ダービー

5月26日にダービーが行なわれたのは,1957年ヒカルメイジ,1963年メイズイ,1974年コーネルランサー,1985年シリウスシンボリ,1991年トウカイテイオー,2002年タニノギムレットの6回です。

私的にはコーネルランサーとトウカイテイオーが印象深いです。

この6回のうち,1985年だけが重馬場で行なわれていて,これは前線と台風3号の影響で前々日~前日に降った雨によるものです。府中のアメダスでは24日12mm,25日19mmの降水量が観測されています。

ダービーとは直接関係ありませんが,1963年ダービー前日に天気がもたらした惨事(?!):

夕涼み中に死ぬ
屋根を踏み抜いて転落


二十五日午後十時ごろ,東京都葛飾区本田立石町四五葛飾機械製作所住込み工員富井武雄さん(一九)は近くの飲食店で酒を飲み,寮に帰ったあと「夕涼みをする」と友人が止めるのも聞かず,寮二階の窓からむね続きの工場屋根に出た。
 ところが,体重でスレートガワラの屋根が破れ,約十メートル下のコンクリート床に落ち,頭を打って死んだ。
(1963.05.26 朝日夕刊)

この日の東京の最高気温は31.2℃でした。

ついでに,5月26日のその他のできごと:

  • 0869/05/26 三陸沿岸で大地震。M8.3。城郭・倉庫・門櫓・垣壁など崩れ落ち倒潰するもの無数。津波が多賀城下を襲い,溺死約1千。流光昼のごとく隠映すという。三陸沖の巨大地震とみられる(『理科年表』より) (貞観11)
  • 1054/05/26 おうし座に超新星あらわる(日付は『続資治通鑑』による)。こののち光度は最高-6等級に達し,22か月間輝いたという (北宋・至和1 1054/07/04J)
  • 1180/05/26 宇治川の合戦。源三位頼政が平家に破れて切腹
  • 1281/05/26 蒙古・高麗の東路軍,壱岐に向かう。途中大風に遭い,将兵113人,水夫36人が行方不明になったという (弘安4)
  • 1910/05/26 東京で大雷雨
  • 1923/05/26 第1回ル・マン24時間耐久レース
  • 1959/05/26 IOC総会で1964年のオリンピック東京開催が決定
  • 1983/05/26 秋田県沖を震源とする地震発生。M7.7:被害は秋田県で最も多く,青森・北海道がこれに次ぐ.日本全体で死104(うち津波によるもの100),傷 163(同104),建物全壊934,半壊2115,流失52,一部破損3258,船沈没255,流失451,破損1187.津波は早い所では津波警報発表以前に沿岸に到達した.石川・京都・島根など遠方の府県にも津波による被害が発生した(『理科年表CD-ROM版』)
  • 2001/05/26 気違いバンド「ステイトクラフト(STATE CRAFT)」のベース担当の狂暴男宮園佳征(25)が西武球場前駅で満員電車に乗った際,乗客に奥に詰めるようつぶやいた須藤健さんの言葉が自分に向けられたと思い込み西武多摩湖線西武遊園地駅ホームに降りた須藤さんの首を手で殴るなどして,翌日死亡させる
  • 2003/05/26 18時24分ごろ,東北地方を中心に強い地震。岩手県や宮城県で震度6弱,青森,山形各県で震度5強を観測したほか,北海道から近畿地方までの広範囲で揺れを観測。震源は宮城県沖で深さ約71km,地震の規模はM7.0


にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

今度の日曜は日本ダービー

昨日のオークス,放馬が1週間早かったですね(笑)>岩田康誠

というわけで,今週の日曜は日本ダービーですね。今年と同じ5月31日に日本ダービーが行なわれたことは過去4回あります。それはおいおい見ていくとして,今日5月25日に行なわれたことは6回あります。その中で印象深いのは次の2レース。

1969/05/25 第36回日本ダービー,田んぼのような泥んこの馬場の中,スタート直後に1番人気の抽選馬タカツバキが落馬するという波瀾の展開。また,優勝したダイシンボルガードの石田廐務員がゴール前の激しいたたき合いに興奮してレース中にもかかわらず本馬場に飛び出すという大珍事も発生

1975/05/25 第42回日本ダービー,前半1000m通過58.6秒の超ハイペースで飛ばしたブラヤオーが,最後バタバタになりながらも逃げ切り勝ち。鞍上の菅原泰夫は前人未踏の春のクラシック完全制覇。盛山アナ「カブラヤオーがんばれがんばれ,カブラヤオー勝てそうだ勝てそうだ」の名(迷!?)実況

ここでは1969年のほうを取り上げます。カブラヤオーのダービーについては5月25日のダービー | 能天気Express~新世界版~をご覧ください。私はカブラヤオーが史上最強のダービー馬だと思っています。

さて,1969年の5月は,

  • 17日……メイストーム,東京で瞬間風速20.4m/s
  • 19~20日……“新緑寒波”,日光0.1℃,長野4℃,舞鶴5℃,岡山6℃

などなど,“天候異変”が続いていました。5月というより,この年は1月からおかしいといえばおかしかったのですが,詳細は省きます。

そして24日,気象庁から低気圧に関する情報が発表されました。

海山は大荒れ,ダービーは重馬場 「低気圧情報」出る

「二十五日は海,山は大荒れ,ダービーは重馬場」――と気象庁は二十四日午前十一時十分,日曜行楽や競馬ファンには気になる低気圧情報を発表した。黄海にある低気圧(九八八ミリバール)が二十四日午後から発達しながら南岸沿いに進む見込み。西日本はすでに風雨が強まっている。

 低気圧が進むにつれ,東海から関東地方も風雨が強まり,二十五日いっぱい山は大荒れ,海は大シケ。関東地方平野部も二十四日夜半から二十五日午前中は雨になり雨量は二,三〇ミリに達する見込み。

 このため,同庁は二十五日の登山は見合わせるよう警告,海上でも十五メートル以上の風が吹くので厳重注意を呼びかけている。

(24日付毎日夕刊)

ダービー当日の東京競馬場は,この低気圧と前線の影響で前夜から雨が降り続き,レース直前には小降りになったものの田植えのあとの田んぼのような不良馬場。1968年以降はカラー映像が残っていますが,私が見た限りその中で最も悪い馬場と思われる馬場です。

そんな泥んこ馬場にもかかわらず,スタートして2F目のハロンタイムが10.5秒ですから,かなり激しい位置取り争いがあったことが想像できます。それに巻き込まれる形で,1番人気のタカツバキが落馬するというアクシデントが発生しました。1番人気といっても,道悪得意ということで祭り上げられた感のある1番人気です。2番人気はやはり道悪得意のギャロップでした。

このタカツバキの落馬については,タカツバキのような抽選馬がダービーを勝ってしまっては馬産システムが崩壊するから落馬するであろう,と予言していた人がいたという有名な謀略説があります。

ゴール前でも珍事が発生。ダイシンボルガードの石田厩務員がレースの最中にもかかわらず思わず馬場に飛び出して「オレの馬だ!!」と叫びながら走っている姿が映像として残っています(フジテレビのビデオには写っていない。ついでに,タカツバキの落馬も写っていません。フジテレビの競馬中継は当時からダメでした)。あんな泥んこ馬場を走ったのでは,この厩務員さんはかなり泥だらけになったことでしょう。

ちなみに,1968年12月に近くて起こった3億円事件の記憶も新しく,売上金56億円など現金輸送は厳戒態勢で行なわれそうです。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

今度の日曜は日本ダービー

昨日のオークス,放馬が1週間早かったですね(笑)>岩田康誠

というわけで,今週の日曜は日本ダービーですね。今年と同じ5月31日に日本ダービーが行なわれたことは過去4回あります。それはおいおい見ていくとして,今日5月25日に行なわれたことは6回あります。その中で印象深いのは次の2レース。

1969/05/25 第36回日本ダービー,田んぼのような泥んこの馬場の中,スタート直後に1番人気の抽選馬タカツバキが落馬するという波瀾の展開。また,優勝したダイシンボルガードの石田廐務員がゴール前の激しいたたき合いに興奮してレース中にもかかわらず本馬場に飛び出すという大珍事も発生

1975/05/25 第42回日本ダービー,前半1000m通過58.6秒の超ハイペースで飛ばしたブラヤオーが,最後バタバタになりながらも逃げ切り勝ち。鞍上の菅原泰夫は前人未踏の春のクラシック完全制覇。盛山アナ「カブラヤオーがんばれがんばれ,カブラヤオー勝てそうだ勝てそうだ」の名(迷!?)実況

ここでは1969年のほうを取り上げます。カブラヤオーのダービーについては5月25日のダービー | 能天気Express〜新世界版〜をご覧ください。私はカブラヤオーが史上最強のダービー馬だと思っています。

さて,1969年の5月は,

  • 17日……メイストーム,東京で瞬間風速20.4m/s
  • 19〜20日……“新緑寒波”,日光0.1℃,長野4℃,舞鶴5℃,岡山6℃

などなど,“天候異変”が続いていました。5月というより,この年は1月からおかしいといえばおかしかったのですが,詳細は省きます。

そして24日,気象庁から低気圧に関する情報が発表されました。

海山は大荒れ,ダービーは重馬場 「低気圧情報」出る

「二十五日は海,山は大荒れ,ダービーは重馬場」――と気象庁は二十四日午前十一時十分,日曜行楽や競馬ファンには気になる低気圧情報を発表した。黄海にある低気圧(九八八ミリバール)が二十四日午後から発達しながら南岸沿いに進む見込み。西日本はすでに風雨が強まっている。
 低気圧が進むにつれ,東海から関東地方も風雨が強まり,二十五日いっぱい山は大荒れ,海は大シケ。関東地方平野部も二十四日夜半から二十五日午前中は雨になり雨量は二,三〇ミリに達する見込み。
 このため,同庁は二十五日の登山は見合わせるよう警告,海上でも十五メートル以上の風が吹くので厳重注意を呼びかけている。
(24日付毎日夕刊)

ダービー当日の東京競馬場は,この低気圧と前線の影響で前夜から雨が降り続き,レース直前には小降りになったものの田植えのあとの田んぼのような不良馬場。1968年以降はカラー映像が残っていますが,私が見た限りその中で最も悪い馬場と思われる馬場です。

そんな泥んこ馬場にもかかわらず,スタートして2F目のハロンタイムが10.5秒ですから,かなり激しい位置取り争いがあったことが想像できます。それに巻き込まれる形で,1番人気のタカツバキが落馬するというアクシデントが発生しました。1番人気といっても,道悪得意ということで祭り上げられた感のある1番人気です。2番人気はやはり道悪得意のギャロップでした。

このタカツバキの落馬については,タカツバキのような抽選馬がダービーを勝ってしまっては馬産システムが崩壊するから落馬するであろう,と予言していた人がいたという有名な謀略説があります。

ゴール前でも珍事が発生。ダイシンボルガードの石田厩務員がレースの最中にもかかわらず思わず馬場に飛び出して「オレの馬だ!!」と叫びながら走っている姿が映像として残っています(フジテレビのビデオには写っていない。ついでに,タカツバキの落馬も写っていません。フジテレビの競馬中継は当時からダメでした)。あんな泥んこ馬場を走ったのでは,この厩務員さんはかなり泥だらけになったことでしょう。

ちなみに,1968年12月に近くて起こった3億円事件の記憶も新しく,売上金56億円など現金輸送は厳戒態勢で行なわれそうです。

誤報

先ほど,気象庁のホームページに次の地震情報が掲載されていました。

地震情報(震源・震度に関する情報)
平成21年5月20日13時12分 気象庁発表
きょう20日13時06分ころ地震がありました。
震源地は、日向灘(北緯31.8度、東経132.0度、宮崎の東南東60
km付近)で、震源の深さは約10km、地震の規模(マグニチュード)は
7.6と推定されます。
[震度3以上が観測された地域]
震度6強  宮崎県南部平野部
震度6弱  宮崎県北部平野部
震度5強  宮崎県北部山沿い  宮崎県南部山沿い  鹿児島県大隅
震度5愛媛県南予  高知県西部  熊本県熊本  熊本県球磨
熊本県天草・芦北  大分県中部  大分県南部  鹿児島県薩摩
震度4    広島県南東部  広島県南西部  徳島県南部  香川県西部
愛媛県東予  愛媛県中予  高知県東部  高知県中部
山口県北部  山口県東部  山口県西部  福岡県福岡
福岡県北九州  福岡県筑豊  福岡県筑後  佐賀県北部
佐賀県南部  長崎県北部  長崎県南西部  長崎県島原半島
長崎県壱岐  長崎県五島  熊本県阿蘇  大分県北部
大分県西部  鹿児島県十島村  鹿児島県種子島
鹿児島県屋久島
震度3    大阪府南部  兵庫県南東部  兵庫県南西部  兵庫県淡路島
和歌山県北部  和歌山県南部  鳥取県中部  鳥取県西部
島根県東部  島根県西部  島根県隠岐  岡山県北部
岡山県南部  広島県北部  徳島県北部  香川県東部
長崎県対馬  鹿児島県奄美北部
[震度5弱以上が観測された市町村]
震度6宮崎市
震度6弱  日向市  西都市  高鍋町  新富町  川南町  門川町  木城町
日南市  清武町  綾町
震度5延岡市  宮崎都農町  宮崎美郷町  串間市  国富町  都城市
小林市  三股町  高原町  野尻町  東串良町  曽於市
志布志市
震度5宇和島市  愛南町  宿毛市  土佐清水市  四万十市  熊本市
八代市  玉名市  御船町  嘉島町  甲佐町  熊本美里町
宇城市  山都町  熊本氷川町  人吉市  錦町  あさぎり町
多良木町  湯前町  相良村  五木村  山江村  芦北町  天草市
臼杵市  佐伯市  豊後大野市  西米良村  諸塚村  椎葉村
日之影町  五ヶ瀬町  えびの市  鹿児島市  枕崎市  阿久根市
指宿市  加治木町  姶良町  薩摩川内市  さつま町  湧水町
日置市  いちき串木野市  南さつま市  霧島市  伊佐市
鹿屋市  垂水市  大崎町  錦江町  南大隅町  肝付町
津波警報等(警報あるいは注意報)を発表中です。
この地震について、緊急地震速報を発表しています。
情報第1号(1/1)

今は削除されています。

これは地震情報の誤報なのでそれほど影響があったとは思えませんが(しかもHPに掲載されただけだし),次の訓練報が間違って流れていたらどうなっていたでしょう。

津波警報・注意報
平成21年 5月20日13時07分 気象庁発表
************** 見出し ***************
大津波・津波の津波警報を発表しました
 九州地方東部、近畿四国太平洋沿岸、種子島・屋久島地方
これらの沿岸では、直ちに安全な場所へ避難してください
なお、これ以外に津波注意報を発表している沿岸があります
************** 本文 ****************
津波警報を発表した沿岸は次のとおりです
<大津波>
 *宮崎県
<津波>
 *高知県、*大分県豊後水道沿岸、*鹿児島県東部、徳島県、
 愛媛県宇和海沿岸、種子島・屋久島地方
これらの沿岸では、直ちに安全な場所へ避難してください
津波注意報を発表した沿岸は次のとおりです
<津波注意>
 千葉県内房、伊豆諸島、小笠原諸島相模湾三浦半島、静岡県、
 愛知県外海、三重県南部、淡路島南部、和歌山県、広島県、
 愛媛県瀬戸内海沿岸、山口県瀬戸内海沿岸、有明・八代海、長崎県西方、
 熊本県天草灘沿岸、大分県瀬戸内海沿岸、奄美諸島トカラ列島、
 鹿児島県西部、沖縄本島地方、大東島地方
以下の沿岸(上記の*印で示した沿岸)では直ちに津波が来襲すると予想さ
れます
 宮崎県、高知県、大分県豊後水道沿岸、鹿児島県東部
*************** 解説 ***************
<大津波の津波警報>
高いところで3m程度以上の津波が予想されますので、厳重に警戒してくだ
さい
<津波の津波警報>
高いところで2m程度の津波が予想されますので、警戒してください
<津波注意報>
高いところで0.5m程度の津波が予想されますので、注意してください

なんとかいう淫行知事の危機対応能力のなさがさらけ出されていたかも知れませんけど。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

沖縄・奄美地方で梅雨入り発表

梅雨の時期に関する沖縄地方気象情報 第1号
平成21年5月18日10時00分 沖縄気象台発表 
(見出し)
 沖縄地方は、梅雨入りしたと見られます。
(本文)
 沖縄地方は、近海にある前線の影響で曇りや雨の天気となっています。
 向こう一週間も、前線の影響で曇りや雨の日が多い見込みです。
 このため、沖縄地方は5月18日ごろに梅雨入りしたと見られます。
 
(参考事項)
(1)平年の梅雨入り:5月8日ごろ(沖縄地方)
(2)昨年の梅雨入り:5月22日ごろ(沖縄地方)
(注意事項)
・梅雨は季節現象であり、その入り明けは、平均的に5日間程度の「移り 
 変わり」の期間があります。
・梅雨の時期に関する気象情報は、現在までの天候経過と1週間先までの 
 見通しをもとに発表する情報です。後日、春から夏にかけての実際の天候
 経過を考慮した検討を行い、その結果、本情報で発表した期日が変更とな
 る場合があります。
梅雨の時期に関する九州南部・奄美地方気象情報 第1号
平成21年5月18日10時00分 鹿児島地方気象台発表
(見出し)
 奄美地方は、梅雨入りしたと見られます。
(本文)
 奄美地方では、本日18日は前線の影響で曇って、雨の降っているところ
が多くなっています。向こう一週間も、前線の影響で雨の日が多い見込みで
す。
 このため、奄美地方は5月18日ごろに梅雨入りしたと見られます。
(参考事項)
 奄美地方の梅雨入り、梅雨明けの時期
        梅雨入り    梅雨明け
   平年  5月10日ごろ  6月28日ごろ
   昨年  5月22日ごろ  7月 2日ごろ
  (平年の梅雨入り、梅雨明けは、1971~2000年の平均です)
(注意事項)
・梅雨は季節現象であり、その入り明けは、平均的に5日間程度の「移り変
わり」の時期があります。
・梅雨の時期に関する気象情報は、現在までの天候経過と1週間先までの見
通しをもとに発表する情報です。後日、春から夏にかけての実際の天候経過
を考慮した検討を行い、その結果、本情報で発表した期日が変更となる場合
があります。

↑だそうです。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

メイストーム・デー前日

1961年5月12日付読売新聞夕刊より:

五月のアラシ けさ最大風速20メートル

○…けさ出勤間ぎわの午前9時ごろから東京地方では横なぐりの強風とともにはげしいにわか雨があり,サラリーマン,BGなどがズブぬれになった。これは一昨日から記録破りのむし暑さをつづける“天候異変”とつながる現象。

○…日本海から北海道にかけて大きな低気圧があり,この谷間に向かってしめっぽい南の風が吹き込んでいるためだ。強風はけさ五時には瞬間二十・一メートルにもなる“メー・ストーム”(五月のアラシ)となった。

これが私が調べた範囲でのメイストームの新聞初出です。

以前,「メイストームが新聞に初登場したのは,σ(^^;)が調べた限りでは1961年5月29日付朝日新聞夕刊」と書きましたが(メイストーム・デー | 能天気Express~新世界版~),そのときよりも調査が進み,17日さかのぼっています。

というわけで,あす5月13日はメイストーム・デーです。

2月14日のバレンタインデーから88日目のこの日は,“八十八夜の別れ霜”のごとく,そろそろ別れ話が出てくるころ,裏を返せば別れ話を切り出すには手ごろな時期。誰が考え出したのか知りませんが,よくできていると思います。

別れを告げるにせよ告げられるにせよ,備えあれば憂いなしです(ホントか?)。明日に備えて今日のうちから準備しておきましょう。それが防災の心得です(ホントか?)。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

メイストーム・デー前日

1961年5月12日付読売新聞夕刊より:

五月のアラシ けさ最大風速20メートル

○…けさ出勤間ぎわの午前9時ごろから東京地方では横なぐりの強風とともにはげしいにわか雨があり,サラリーマン,BGなどがズブぬれになった。これは一昨日から記録破りのむし暑さをつづける“天候異変”とつながる現象。
○…日本海から北海道にかけて大きな低気圧があり,この谷間に向かってしめっぽい南の風が吹き込んでいるためだ。強風はけさ五時には瞬間二十・一メートルにもなる“メー・ストーム”(五月のアラシ)となった。

これが私が調べた範囲でのメイストームの新聞初出です。

以前,「メイストームが新聞に初登場したのは,σ(^^;)が調べた限りでは1961年5月29日付朝日新聞夕刊」と書きましたが(メイストーム・デー | 能天気Express〜新世界版〜),そのときよりも調査が進み,17日さかのぼっています。

というわけで,あす5月13日はメイストーム・デーです。

2月14日のバレンタインデーから88日目のこの日は,“八十八夜の別れ霜”のごとく,そろそろ別れ話が出てくるころ,裏を返せば別れ話を切り出すには手ごろな時期。誰が考え出したのか知りませんが,よくできていると思います。

別れを告げるにせよ告げられるにせよ,備えあれば憂いなしです(ホントか?)。明日に備えて今日のうちから準備しておきましょう。それが防災の心得です(ホントか?)。