壯烈な曉の渡河戰

1938年7月,近畿地方は神戸を中心に大水害に見舞われましたが(いわゆる神戸大水害または阪神大水害),近畿地方に大雨を降らせた梅雨前線は6月下旬には関東・東海・東北地方南部に大雨を降らせていました。

東京の日降水量は6月28日109mm,29日278.3mmを記録しており,278.3mmは東京の歴代2位の記録になっています。横浜でも29日に268.3mmの歴代2位の日降水量を記録しています。

ちなみに,東京,横浜とも歴代1位の日降水量は1958年9月の狩野川台風によって記録されたものです。

次は1938年6月30日付東京朝日新聞夕刊の記事より。なお,当時の習慣で,30日付夕刊が発行されたのは実際は前日の29日です。

遂に廿九日早朝から帝都の江東方面の浸水は加速度に増して到るところに膝を沒する海の出現である。朝のラッシュアワーにサラリーマン,職業婦人,小學生が靴を脱ぎ靴下を棄てゝ壯烈な曉の渡河戰である

ちなみに,見出しは

水浸し七萬六千戸 帝都に濁水狂ふ 崖崩れ各所に頻發


にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

ビートルズ台風

かつてビートルズという団体があったそうで,かなり有名らしいですが,とくに興味もないのでどのような団体だったかはほとんど知りません。まあ,ジョン・レノンという人が所属していたことくらいは知っていますが。

1966年6月29日03時40分,そのビートルズが羽田空港に到着しました。

もちろん,はじめからこのような未明の来日を予定していたわけではなく,27日16時25分にハンブルクを飛び立った北回り日航機が,台風4号の影響で11時間も到着が遅れたのでした。

「暁の来日」となったため,ビートルズを出迎えたのは報道関係者と警備の警察官ばかりで,ファンの数は微々たるものだったそうです。

ビートルズの到着を遅らせた台風4号は,最盛期の中心気圧が880mbというこの時期としては空前の台風で,日本列島に近づいたときはかなり衰えていたものの,梅雨前線を刺激して記録的な大雨を降らせ,16都県で死者61,負傷91,住家全半壊223,流失3,床上浸水24260,床下浸水97281などの被害をもたらしました。

ちなみに,この大雨の直前には港区高輪のアパートで16歳の少女が殺される事件が,大雨の最中(か直後)には渋谷区神宮前で老女が殺される事件が起こっています。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

大雨に関する全般気象情報 第1号

気象庁から大雨に関する全般気象情報 第1号が発表されています。

大雨に関する全般気象情報 第1号
平成20年6月27日15時35分 気象庁予報部発表
(見出し)
 明日(28日)から30日にかけて梅雨前線の活動が活発となるため、西
日本と東日本では雷を伴った激しい雨が降り、大雨となる見込みです。土砂
災害や低地の浸水、河川の増水に警戒してください。また、落雷や突風にも
注意が必要です。
(本文)
[気圧配置の予想]
 梅雨前線が、華中から日本の南海上をとおって日本の東にのびています。
今夜には、この前線上の華中に低気圧が発生し北東に進むため、前線は次第
に北上する見込みです。また、この前線に向かって暖かく湿った空気が流れ
込むため、前線の活動が活発となる見込みです。
[防災事項]
<大雨>
 九州北部地方では、    28日昼前から、
 九州南部では、      28日夕方から、 
 四国、中国、近畿地方では、28日夜から、
 東日本では、       29日から、
雷を伴った1時間に30ミリから50ミリの激しい雨が降り、大雨となる所
がある見込みです。
 28日18時までに予想される24時間降水量は、いずれも多いところで
、
 九州北部地方  150ミリ
 九州南部    100ミリ
の見込みです。その後も激しい雨は続き大雨となるおそれがあります。
 また、梅雨前線の活動はその後も引き続き活発なことが予想されるため、
中国、四国地方から東日本にかけても大雨となるおそれがあります。
 この大雨により、土砂災害や低地の浸水、河川の増水のおそれがあります
ので警戒してください。また、落雷や突風にも注意が必要です。
[補足事項]
 地元気象台の発表する警報・注意報・気象情報に留意してください。
 次の「大雨に関する全般気象情報」は28日05時頃に発表する予定です
。


にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

サツキとメイ,トトロに会う

1952年6月23日,雨の中,サツキとメイがバス停でトトロに会いました。

6月23日というのは小学校の黒板に書いてあるので議論の余地はありませんが,問題は1952年のほうです。実は1952年とするにはかなり矛盾もあるのです。

お母さんが入院している病室のカレンダーがたびたび映ることがあり,それによると8月1日が金曜日になっています。また,同じことですが,7月1日が火曜日になっています。8月1日が金曜日になるのは 1947年,1952年,1958年といったところなので(今年も8月1日が金曜日です),1952年とするのがもっとも妥当だと思います。1958年の可能性が消えるのは,当時のデータを見ると1958年6月23日に雨が降ったとは考えられないからです。

ところが,となりのトトロの世界が1952年だとすると,6月23日は月曜日になります。しかし,黒板には6月23日(水)とハッキリ書かれています(原文はタテ書き)。この矛盾はどうにも説明がつきません。

日直が間違えて書いたのだろう……ということで(カレンダーはウソつかない(笑)),スッキリはしないのですが,σ(^^;)は1952年ということにしています。1952年説を唱えているのはおそらくσ(^^;)ひとりでしょう。

ところでこの日,ダイナ台風が紀伊半島に上陸しています。その影響もあって東京では39.8mmの雨が降りました。

そしてお父さんの帰りが遅くなったいいわけ。

電車が遅れてね,バスに間に合わなかったんだ。

もうおわかりでしょう。大雨の影響で電車が遅れたのです(ナットク(笑))

さらに,ダイナ台風は東京の真上を通過していきましたが,その実体はトトロが乗ったねこバスだったのかも知れません(笑)

松郷

写真はサツキとメイたちの家があった松郷のいまの姿。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

先ほどの茨城県沖を震源とする地震

気象庁  22日10時33分発表
発生日時:
 6月22日10時28分
震源:
 茨城県沖
 北緯36.7度
 東経141.0度
 深さ50km
規模:
 M4.4
各地域の震度
 震度3
  茨城県北部
 震度2
  福島県中通り
  福島県浜通り
  栃木県南部
 震度1
  茨城県南部
  栃木県北部
各市町村の震度
 震度3
  日立市
  高萩市
 震度2
  白河市
  鏡石町
  泉崎村
  矢祭町
  玉川村
  平田村
  浅川町
  古殿町
  田村市
  いわき市
  楢葉町
  水戸市
  常陸太田市
  北茨城市
  ひたちなか市
  常陸大宮市
  茂木町
 震度1
  郡山市
  須賀川市
  二本松市
  川俣町
  大玉村
  天栄村
  棚倉町
  鮫川村
  石川町
  小野町
  本宮市
  福島広野町
  富岡町
  川内村
  大熊町
  浪江町
  葛尾村
  南相馬市
  笠間市
  茨城町
  東海村
  大子町
  那珂市
  城里町
  小美玉市
  土浦市
  石岡市
  つくば市
  美浦村
  稲敷市
  筑西市
  かすみがうら市
  桜川市
  鉾田市
  大田原市
  真岡市
  栃木二宮町
  益子町
  市貝町
  那須烏山市
  栃木那珂川町
この地震による津波の心配はありません。


にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

大雨の恐れは続きます

大雨に関する全般気象情報 第5号
平成20年6月22日04時45分 気象庁予報部発表
(見出し)
 西日本の太平洋側では22日昼過ぎまで、東日本の太平洋側では22日昼
前から夜遅くにかけて、雷を伴った1時間に50ミリ前後の非常に激しい雨
が降る所があるでしょう。土砂災害や低地の浸水、河川の急な増水やはん濫
に警戒して下さい。総雨量が多くなっている九州では、特に土砂災害に十分
な警戒が必要です。
(本文)
[現況と今後予想]
 梅雨前線が中国大陸から九州をとおり関東にのびています。九州付近には
前線上の低気圧があって、九州では1時間に50ミリを超える非常に激しい
雨を観測しています。また、九州では19日からの総雨量が400ミリを超
えている所があります。
 梅雨前線上の低気圧は、本州の太平洋側を東進し22日夜には関東に進む
見込みです。
[防災上の注意事項]
 低気圧の東進に伴い、非常に激しい雨の地域も東へ移動する見込みです。
九州北部の非常に激しい雨は22日朝までに弱まる見込みですが、西日本の
太平洋側では22日昼過ぎまで、東日本の太平洋側では22日昼前から夜遅
くにかけて、雷を伴って1時間に50ミリ前後の非常に激しい雨が降る所が
あるでしょう。
 土砂災害や低地の浸水、河川の急な増水やはん濫に警戒して下さい。落雷
や突風にも注意が必要です。
 なお、九州はこれまでの大雨で地盤が緩んでいますので、特に土砂災害に
対する十分な警戒が必要です。
 23日06時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で、
  東海地方                200ミリ
  近畿地方・関東地方           150ミリ 
  九州南部・四国地方・伊豆諸島      100~120ミリ 
 の見込みです。
[補足事項]
 地元気象台の発表する注意報や警報、気象情報に留意してください。
 次の「大雨に関する全般気象情報」は、22日17時頃発表の予定です。

ところで,お天気キャスターがときどき大雨に十分警戒してくださいとかいったりしますが,具体的にはどうすればいいんでしょうね?(笑)

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

全般気象情報は続く……

大雨に関する全般気象情報 第4号
平成20年6月21日16時30分 気象庁予報部発表
(見出し)
 西日本と東日本では、22日にかけて九州から関東付近に停滞する梅雨前
線の活動が活発となるため、雷を伴った1時間に40から70ミリの非常に
激しい雨が降る所があるでしょう。土砂災害や低地の浸水、河川の急な増水
、はん濫、落雷、突風に注意・警戒して下さい。
(本文)
[現況と今後予想]
 梅雨前線が黄海から対馬海峡を通り、関東にのびて停滞しており、九州で
は21日16時までの24時間の雨量が200ミリを越えている所もありま
す。
 梅雨前線上の低気圧は、22日には西日本を通過し、東日本に達する見込
みです。前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、本州の上空には寒気
も流入するため、22日にかけて、西日本から東日本で前線活動が活発な状
況は続く見込みです。
[防災上の注意事項]
 西日本、東日本では、22日にかけても、断続的に、雷を伴って1時間に
40から70ミリの非常に激しい雨が降るでしょう。
 土砂災害や低地の浸水、河川の急な増水やはん濫に警戒して下さい。
 また、落雷、突風にも注意が必要です。
 九州地方は、これまでの大雨で地盤が緩んでいますので、特に土砂災害に
対する十分な警戒が必要です。
 22日18時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で、
  九州北部地方・近畿地方         250ミリ 
  九州南部・四国地方・東海地方      200ミリ
  伊豆諸島                150ミリ
  関東地方                120ミリ
 の見込みです。
 東日本では、その後も雨が降り続き、雨量はさらに増える見込みです。
[補足事項]
 地元気象台の発表する注意報や警報、気象情報に留意してください。
 次の「大雨に関する全般気象情報」は、22日05時頃発表の予定です。

直接関係ないですが,けさの土曜ラジオあさいちばん出演の気象予報士H.A.さんが鹿児島県の出水をでみずと読んでいました。出水市って気象災害ではかなり有名な地名なんですけどね。アメダスもありますし。

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

台風6号列伝(1)

台風6号Fengshenが発生し,フィリピンあたりをウロウロしています。

歴代の6号を見てみると,なかなか興味深い台風があります。

まず,1961年の6号。6月26日21時に四国沖で台風になり27日15時には“弱い熱帯低気圧”に戻った短命の“弱い”台風でしたが,梅雨前線を刺激して昭和36年梅雨前線豪雨の原因のひとつとなった台風でした。

1965年の6号Amyは,5月27日に千葉県館山市付近に上陸しました。51年ぶりとなる台風の5月上陸でした。

この台風は前線を刺激して,関東・東海地方などに大雨を降らせました。キーストンが逃げ切った泥んこの日本ダービーをもたらしたのはこの台風です。このダービーについては能天気Express~新世界版~  泥んこダービー(の後半部分)をご覧下さい。

また,前年に開通したばかりの東海道新幹線が全線で不通になり,雨に対する脆弱さを露呈しました。

ちなみに,東海道新幹線はこの年の12月,雪に対する弱さも天下に晒すことになります。これについては能天気Express~新世界版~  1084mbのシベリア高気圧をどうぞ。

1976年の6号Pamelaはグアム島を直撃,日本からの観光客800人が電気が止まり飲料水が不足しているホテルにカン詰めになり,救援機が日本から飛び立つ騒ぎになりました。

最近では2004年の6号Dianmu。6月21日09時半ごろ,強い勢力のまま高知県室戸市付近に上陸しました。その後,「21日13時過ぎに兵庫県明石市付近に再上陸し,21 日午後には京都府舞鶴市付近を通って日本海へ進み,能登半島の沿岸,佐渡沖を通って 22 日 3 時に津軽海峡の西で温帯低気圧に変わった」。

6月20日から21日には、沖縄地方から東北地方にかけて台風接近・通過時を中心に暴風となり、高知県室戸岬で最大風速43.7m/s(最大瞬間風速57.1m/s)、沖縄県南大東島で最大風速28.6m/s(最大瞬間風速48.7m/s)などを観測した。
また、18日から22日にかけての総降水量は、三重県、高知県、徳島県で400mmを超え、九州地方から東海地方にかけ
ての太平洋側で300㎜を超えた所があった。
気象庁「平成16年台風第6号による6月18日から22日にかけての大雨と暴風」~

この台風によって5人が死亡または不明になっていますが,少なくともそのうち4人は自爆のようなものでした。能天気Express~新世界版~  楽しい?!高波見物をご覧下さい。

この台風を語るには,加太海岸での“度胸試し”や静岡大学モダンダンス部御一行様の“バーベキューパーティー”に加えて,やはり次の“事件”を抜きには語れません。

 21日午後1時10分ごろ、近江八幡市西生来(にしょうらい)町で、ホテルの屋根が台風6号の強風に吹き飛ばされ、すぐ前の国道8号を越えて、約30メートル離れた東海道新幹線の架線上に落下、電線4本を切断した。当時、新幹線は岐阜羽島-京都間で運行を見合わせていたため、惨事にはならなかった。JR東海がクレーン車で屋根の撤去作業を続け、午後8時10分、約7時間ぶりに運転を再開したが、列車は運休が相次ぎダイヤは混乱した。

 滋賀県警などによると、屋根は幅10メートル、長さ約40メートルのトタン板製。ホテルは今年4月に改装オープンしたばかりで、トタン屋根は今年1月、雨漏り防止と断熱目的で従来の屋根を補強するため設置したという。

 屋根は、高さ約20メートルの位置にあり、強風にあおられ約40メートルまで舞い上がった。架線に落下した際、トタン板の中央部分が折れ曲がって「く」の字型になり、架線全体をまたいだ状態になった。

 ホテルの店長(54)は「こんなことになるなんて、信じられない」と肩を落としていた。(京都新聞)
[6月21日23時2分更新]

この記事にはたんにホテルとしか書いてありませんが,いわゆるラブホテルです(笑) このホテル,今も営業しているようです。損害賠償とかはどうなっているのでしょうね?

にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ

大雨に関する全般気象情報 第2号

本日15時50分,気象庁から大雨に関する全般気象情報 第2号が発表されました。

大雨に関する全般気象情報 第2号
平成20年6月20日15時50分 気象庁予報部発表
(見出し)
 西日本と東日本では、21日にかけて九州から本州付近に停滞する梅雨前
線と上空の寒気の影響で、雷を伴った1時間に60ミリ前後の非常に激しい
雨が降る見込みです。土砂災害や低地の浸水、河川の急な増水、落雷や突風
に注意・警戒が必要です。
(本文)
[気圧配置の予想]
 梅雨前線はやや南下して九州から本州付近に停滞し、この前線に向かって
暖かく湿った空気が断続的に流れ込んでいます。また、本州の上空には寒気
も流れ込んでいるため、西日本から東日本にかけて前線活動の活発な状態が
21日にかけても続く見込みです。
[防災上の注意事項]
 九州地方では、これから20日夜にかけて、雷を伴って1時間に60ミリ
前後の非常に激しい雨が降るおそれがあります。その後、九州地方では21
日の日中は一旦雨がやや弱まりますが、夜には再び強まる見込みです。
また、近畿南部や東海地方では21日朝から、1時間に50ミリ前後の雷を
伴った非常に激しい雨の降る所がある見込みです。
 これらの地方では、これまでに大雨となっている所もあります。土砂災害
や低地の浸水、河川の急な増水やはん濫に警戒して下さい。
 また、落雷にも注意が必要です。
 21日18時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で、
  九州南部              180ミリ 
  九州北部地方、近畿南部、東海地方  150ミリ
 の見込みです。
 なお、梅雨前線の活発な状態は21日以降も続くことから、西日本から東
日本にかけてはその後も雨が降り続き、雨量は更に増える見込みです。
[補足事項]
 地元気象台の発表する注意報や警報、気象情報に留意してください。
 次の「大雨に関する全般気象情報」は、21日05時頃発表の予定です。


にほんブログ村 環境ブログ 天気・気象学へ