西高東低と聞くと「火曜サスペンス劇場」で放送された「津軽竜飛岬風の殺意」を思い出します。
サブタイトルは「吹き荒れる西高東低の気圧配置はかなしい女の季節風」。1991年2月12日に放送されました。
火曜サスペンス劇場の作品からなんでもいいから印象の強い作品をひとつだけ選べといわれたら,たぶんこれを選ぶと思います。名作というわけではないんですが,かなり印象が強い作品です。ツッコミどころ満載ともいいます(笑)
“凶器”は風です。竜飛岬に吹く局地的な突風(前線の通過か季節風の吹き出しに伴うもののようです)を場所も時刻もほとんど誤差なく予測して,その時刻に殺したい相手を竜飛岬におびき出し,転落死させる わけです。もちろん自分は別な場所にいるので,アリバイは鉄ペキです。σ(^^;)の知る限り,気象現象を積極的に凶器に使う唯一のサスペンスドラマです。
ドラマ中に出てくる用語はかなりメチャクチャです。とくにクライマックスではほとんど意味不明になります。それでもNHKの朝ドラ「まんてん」よりはマシでしたが。
また,突風の予測のもとになる杉本圭吾氏の論文「竜飛岬における突風のメカニズム」の2ページ目はなんと,今はなき雑誌「気象」に掲載された「天気図日記」だったりします。こんな論文σ(^^;)は見たことがありません(天気図日記を利用した論文なら昔はありましたけど)。しかも,使われている「天気図日記」は1988年10月のもので,これでは論文が書かれた時期についてつじつまが合わなくなります。というのは,この論文は14,5年前の学生時代に書かれたことになっているからです。1990年ごろの14,5年前なら1975年前後になるはずで,どう考えても1988年の天気図日記は使えません。
気象観測装置も,リアルタイムで衛星雲画像を映し出すコンピューターが登場しています。現在でも実用化されていないスバラシイ超最先端の技術です。