秩父夜祭殺人事件

12月2日と3日,埼玉県秩父市で秩父夜祭が行なわれます。

しばらく中止されていたネット中継も,有志の方々がボランティアで復活させるようです。

秩父にはときどき行っていますが,夜祭期間中には行ったことがありません。人混みがきらいということもありますが,そもそもホテルの部屋が簡単には取れません。夜祭期間中の部屋の予約は通常とは別扱いになっているところが多いようです。料金ももちろん特別料金(笑)

ところで,私の知る限り,秩父夜祭の夜に2件の殺人事件!?が起きています。

ひとつは,

2000/12/04 秩父夜祭が終わったこの日の朝,秩父市内の羊山公園で,ホームレス風の初老の男性の絞殺死体が発見される(内田康夫『鯨の哭く海』)

『鯨の哭く海』のロケ地探訪はhttp://www.notenki.net/location/uchida.html#id0003にあります。ただし,訪問したのは秩父のみで,しかも最重要箇所が抜けています(笑) 10年以上も前のものなので更新したいと思っていることはいます。

この作品は2006年10月13日に「金曜プレステージ」でドラマが放送されましたが,ハッキリいって駄作でした。

殺人事件のもうひとつは,2002年1月12日に土曜ワイド劇場で放送された「お祭り弁護士・澤田吾朗2 秩父夜祭りに消えた女~恋人に殺人容疑が!巨大笠鉾引き踊り,打ち上げ花火が暴いた真犯人」。あらすじを公式サイトから。

 澤田吾朗(高嶋政伸)は、お祭と聞けば全国どこにでも駆けつけてしまうほどの祭り好きの弁護士。現在、妻・恵(芳本美代子)の母である弁護士・神崎雅子(野際陽子)の事務所に籍を置いている。
 ある日吾朗は、足を捻挫した雅子の代わりに、仕事で秩父へと出かけて行く。折りしもその日は、日本三大曳山祭りの一つ、秩父夜祭りの当日、祭りの血が騒ぐ吾朗は早速参加してしまう。
 ところがそんな中、吾朗は若い女性が男の車に引きずり込まれようとしているのを目撃、女性を助けようとしたことから、周囲を巻き込んでの大乱闘になってしまう。
 所轄署に連行された吾朗は、仕事の依頼人で秩父織りの名人といわれる職人・佐久間大三郎(梅津栄)が保証人となって、ようやく釈放される。
 吾朗は、その直後に大三郎から、自分の孫だというやはり秩父織りの職人・佐久間雄一(西岡竜一朗)を紹介される。雄一は、神谷桐子(細川直美)という恋人を連れていたのだが、桐子こそ、吾朗が助けようとした女性だった。桐子を車に連れ込もうとしたのは、工藤(藤原習作)というチンピラだという。吾朗と桐子からこの一件を聞いた雄一は、「こうなったらあいつと決着をつけてやる」と叫ぶと、その場から駆け去っていき、あわてて桐子もあとを追っていったのだった。

ドラマの中で,今夜はどうぞうちにお泊まりくださいと勧められた澤田吾朗がホテルの部屋を取りましたからといって断わるシーンがあるのですが,当日ポッと部屋が取れるなんてあり得ないです。かりにホテルの部屋を取ったのが事実なら,かなり以前に予約していたものと思われます。

2時間サスペンスでは,「サントリーミステリー大賞スペシャル」で放送されたその名も「秩父夜祭殺人事件」もあるのですが,ストーリーが不明で(たぶん見たはずですが),そもそも秩父夜祭の夜に殺人事件があったかどうかわからないので,ここではスルーしておきます。

最後に,秩父夜祭は“り”を送らないのが正しいようですが,タイトルやサブタイトルや引用に関しては《ママ》にしています。

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リンゴ台風と箱庭 (1991年)

1991年9月27日16時過ぎ,台風19号(Mireille)が中心気圧935mb,中心付近の最大風速50m/sという“非常に強い”勢力で長崎県佐世保市の南に上陸しました。その後,加速しながら日本海を北東に進み,28日08時ごろ965mbで北海道渡島半島に再上陸,28日15時に千島近海で温帯低気圧に変わりました。

Image from Gyazo

台風が非常に強い勢力で上陸し,勢力をほぼ維持したまま日本海を速い速度で北東に進んだため,沖縄から北海道まで全国で暴風が吹き荒れました。くわしくは気象庁の前線、台風第17、18、19号 平成3年(1991年) 9月12日~9月28日などを参考にしてください。

リンゴ台風

この台風はリンゴ台風とよばれています。青森県で収穫前のリンゴの70%以上が落下するという被害があったからです。ただ,農作物に限っても被害はリンゴだけではなかったにもかかわらずリンゴ台風とよばれる理由はσ(^^;)にはわかりません。σ(^^;)的にはもっともしっくりくる通称ではあります。

台風の暴風にもめげずに落下しなかったリンゴの一部は落ちないリンゴとして受験生のお守りに珍重されていました。

当時受験屋だったし,近くの神社(谷保天満宮=通称ヤボ天)でも発売されていたので,よくおぼえています。値段はたしか悪税込みで1000円程度だったような記憶があります。あくまでお守りなのでリンゴとしては高めでした。ご利益があったかどうかは……。

一方で,落果リンゴを買おうという運動もパソコン通信などで広がっていました。

ちなみに,現在は落ちないりんご有限会社落ちないりんごの登録商標になっているようです。

『箱庭』

広島県の宮島にある厳島神社は,このリンゴ台風によって当時の新聞によると「創建以来の天災」に見舞われました。中国新聞9月28日付夕刊には次のようにあります。

同神社では二十七日午後七時半ごろ,突風のため能舞台と能楽屋の柱が折れ倒壊。屋根がそっくり砂浜に座る形になった。・・(中略)・・また,回廊中央部にある平安時代に建てられた左右門客神社,国宝の左右楽房のうち西側楽房が流失,東側楽房も大きく傾いた。回廊もあちこちで床板がめくれ上がり,通り抜けができなくなったほか,本社祓(はらい)殿などの屋根の軒先が壊れた。

神社職員らの話では,午後七時過ぎから,回廊に海水が上がり始め,ピークの午後十時半ごろには水位が回廊の上八十三センチに達し,手の施しようがなかったという。

そして台風一過の翌日,事件がはじまります。

AD1991/09/28 台風19号で大損害を受けた厳島神社の大鳥居付近に,男の変死体が流れ着く(内田康夫『箱庭』)

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[2019/09/20] 画像へのリンクを修正

井の頭公園に他殺死体!!

1994年5月10日の深夜,井の頭公園で週刊誌記者の他殺死体が発見されました。(内田康夫『幸福の手紙』)

この作品が出版されたのは1994年8月でしたが,同年4月に井の頭公園バラバラ殺人事件が起こっており,『浅見光彦のミステリー紀行第7集』によるとやはりこの事件を多少参考にしたようです。

幸福の手紙は今のところ1度も2時間サスペンスドラマ化されていません。理由はわかりませんが,“捜査中”の事件と似たような事件が出てくるからなのかもしれません。

ちなみに,井の頭公園バラバラ殺人事件は犯人が見つからないまま2009年4月23日に公訴時効が成立しています。

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赤坂ワイドホテルで変死体

5月8日,赤坂ワイドホテルで弘前の古本店主の変死体が発見されました。(内田康夫『津軽殺人事件』)

津軽殺人事件が2時間サスペンスドラマ化されたのは1回だけです。

  • 20011130 金曜エンタテイメント 浅見光彦シリーズ13 津軽殺人事件 “幻の太宰治肖像画の怨霊が死を招く・・・殺された父が残した謎の言葉と消えたコスモスが真相を暴く!”

“榎木光彦”です。

ちなみに,榎木孝明氏は次作のシリーズ14 黄金の石橋を最後に光彦から兄の警察庁刑事局長の陽一郎に“昇格”しています。ただし刑事局長としての登場はシリーズ17の秋田殺人事件からです。

なお,津軽殺人事件が月曜ゴールデン(または前身の月曜ミステリー劇場)でドラマ化されなかった理由はわかりません。

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親王塚前に中年男の死体

5月3日,長野県南佐久郡相木村の親王塚前で中年男の死体が発見されました。(内田康夫『菊池伝説殺人事件』)

相木村は実在せず(実在するのは南相木村と北相木村),親王塚もまた

役場で親王塚の場所を聞いたのだが知らなかった。軽井沢のセンセの想像の場所らしい。(『浅見光彦のミステリー紀行第4集』)

とのことです。

菊池伝説殺人事件は2回2時間サスペンスドラマ化されました。

  1. 20050401 金曜エンタテイメント 浅見光彦シリーズ21 熊本・菊池伝説殺人事件 “清少納言から西郷隆盛伝説の一族を襲う連続殺人!”

  2. 20110207 月曜ゴールデン 内田康夫作家30周年浅見光彦シリーズ29 菊池伝説殺人事件 “火の国熊本で出会った謎の美女と名門一族を襲う連続殺人!一門の掟と哀しき恋・光彦が見た血塗られた記憶”

両ドラマとも秩父事件の扱いがあまりにもヒドかったです。

さらに月曜ゴールデンのほうは内田康夫作家30周年などと仰々しい副題がついているにもかかわらず,駄作に近いドラマでした。なにより沢村光彦の老け具合が……。

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フェリーから乗客が転落し行方不明に (平家伝説殺人事件)

5月2日,前日の18時20分に東京を出港した高知行きフェリー「しーふらわー号」から男が転落しました。しかし,死体は発見されませんでした。(内田康夫『平家伝説殺人事件』)

平家伝説殺人事件は3回ほど2時間サスペンスドラマ化されました。

  1. 19870908 火曜サスペンス劇場 浅見光彦ミステリー1
    “高知-那智勝浦-名古屋,連続転落死事件の奇妙な符合を追え!!”

  2. 19990702 金曜エンタテイメント 浅見光彦シリーズ8
    “落人の子孫は、村から出ると不幸に!八百年前の恨みが今、蘇る! 故郷も年齢も同じ二人の男が死亡した。密室に秘められたトリック!! おごれる者は久しからず…落人伝説の地によみがえる死者の怨念!! 2年前のフェリーの同乗者を襲う魔物の影”

  3. 20051226 月曜ミステリー劇場 浅見光彦シリーズ21
    “平家の怨念が最後の清流・四万十川を血で染める!?愛に飢えた女の孤独と哀しい運命”

金曜エンタテイメントの長すぎるサブタイトルが異様です(笑)

平家伝説殺人事件は原作ではプロローグに伊勢湾台風が描かれており,これが伏線になっていくわけです。火曜サスペンス劇場と金曜エンタテイメントではきちんと伊勢湾台風として扱われており,とくに金曜エンタテイメントは放送された1999年が伊勢湾台風からちょうど40年目ということもあり,榎木光彦が現地の慰霊碑などを訪れています。

ところが月曜ミステリー劇場では沢村光彦は現地にも行かず,名古屋新聞(?)の見出に出てはきますが,

巨大台風18号 明日にも上陸か
死者は52人に
伊勢湾台風以来の被害に

台風18号の片隅に追いやられていました。

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リンゴ台風のない「箱庭」なんて……

内田康夫センセの作品『箱庭』にはプロローグに1991年の台風19号,いわゆるリンゴ台風が描かれています。かなり迫力のある描写です。そして,この台風の暴風で大損害を受けた厳島神社の大鳥居付近に男の変死体が流れ着く――というのが事件のはじまりですが,これについてはリンゴ台風と箱庭 (1991年) | Notenki Express 2014をご覧下さい。

さて,つい先ほどまで金曜プレステージで箱庭が放送されていました。デキもアレでしたが(とにかくヒロインがアレではねえ……),リンゴ台風が無視されていたのはガッカリでした。もっとも,17年前の台風をそのまま取り入れると,TBS月曜ワク“沢村光彦”お得意のメチャクチャな設定になってしまいますが(例えば,『長崎殺人事件』と長崎豪雨 | Notenki Express 2014参照)。

もうひとつ。原作では東尾静江さんの夫は1993年の5年前,つまり1988年の崖崩れで死んだことになっています。これは1988年7月20~21日の豪雨によるものと思われます。

それがドラマでは,10年以上前,鉱山で働いていたときに豪雨による山崩れで死亡したことになっていました。いつの災害によるものかはもちろん不明です。

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