1991年9月27日16時過ぎ,台風19号Mireilleが中心気圧935mb,中心付近の最大風速50m/sという“非常に強い”勢力で長崎県佐世保市の南に上陸しました。その後,加速しながら日本海を北東に進み,28日08時ごろ965mbで北海道渡島半島に再上陸,28日15時に千島近海で温帯低気圧に変わりました。
台風が非常に強い勢力で上陸し,勢力をほぼ維持したまま日本海を速い速度で北東に進んだため,沖縄から北海道まで全国で暴風が吹き荒れました。くわしくは気象庁のサイトなどを参考にしてください。
◆リンゴ台風
この台風は通称「リンゴ台風」とよばれます。それは,青森県で収穫前のリンゴの70%以上が落下するという被害があったからです。ただし,農作物に限っても被害はリンゴだけではなかったのにもかかわらずリンゴ台風とよばれる理由は,σ(^^;)にはわかりません。σ(^^;)的にはもっともしっくりくる通称ではあります。
台風の暴風にもめげずに落下しなかったリンゴの一部は,「落ちないリンゴ」として受験生のお守りに珍重されていました。
当時受験屋だったし,近くの神社でも発売されていたので,よくおぼえています。値段はたしか悪税込みで1000円程度と聞いたような記憶があります。あくまでお守りなのでリンゴとしては高めでした。ご利益があったかどうかは……個人情報保護法により(?),公にはできません(笑)
◆箱庭
広島県の宮島にある厳島神社は,このリンゴ台風によって当時の新聞の見出しによると「創建以来の天災」に見舞われました。中国新聞9月28日付夕刊には次のようにあります。
同神社では二十七日午後七時半ごろ,突風のため能舞台と能楽屋の柱が折れ倒壊。屋根がそっくり砂浜に座る形になった。・・(中略)・・また,回廊中央部にある平安時代に建てられた左右門客神社,国宝の左右楽房のうち西側楽房が流失,東側楽房も大きく傾いた。回廊もあちこちで床板がめくれ上がり,通り抜けができなくなったほか,本社祓(はらい)殿などの屋根の軒先が壊れた。
神社職員らの話では,午後七時過ぎから,回廊に海水が上がり始め,ピークの午後十時半ごろには水位が回廊の上八十三センチに達し,手の施しようがなかったという。
そして台風一過の翌日,次のような事件が起こります。