「ノルマントン号沈没の歌」と題する長~~~~~い歌があります。
岸打つ波の音高く
夜中の嵐に夢さめて
青海原をながめつつ
わが兄弟は何処ぞと
ではじまり,なんと59番まであります。「鉄道唱歌」を全部歌える物好きはいるかも知れませんが,この歌を全部歌える人がいるとすればかなりの変人でしょう(笑)
そのノルマントン号が沈没したのは1886年10月24日のことです。沈没そのものや時代的な背景についてはググればいくらでもヒットしますので,ここでは書きません。
ノルマントン号は潮岬付近で暗礁に接触する前,暴風雨に巻き込まれていました。この暴風雨が台風によるのか,温帯低気圧によるのかはわかりません。
『日本の気象史料』が引く『測候瑣談』に,『紀伊の海底の水屑』からの引用として次のようにあります。
ノルマントン号は横濱居留地三十六番館の英人 アダム,ソンベルの持船で 一五三三噸の二本檣の汽船で英國ロンドンのスコツト・ウード・オン・タイン會社の建造である……横濱と神戸の第三回目の航海として明治十九年十月二十三日午後六時に横濱を出航した ……乘客は日本人二五名であつた 船員は船長以下三十八人 支那人ボーイ一名で合計六十四名であつた
翌朝夜の明ける頃は相模灘を經て 御前崎へさしかゝるまでは天氣は良好の方であつたが 午後四時頃から荒れ出し南東の風が吹き雨を交へ 日暮の頃は咫尺も辧ぜざる程暗澹たる荒天となり 大島燈臺に近づく頃に七時三十分頃 暗礁に乘り上げ 日本人乘客は全部死亡したが船員は避難して助かつたものが多かつた