トラックバックテーマ 第982回「降水確率何パーセントで傘を持っていく?」

私は実は降水確率を利用していない……というよりそれ以前に見ていませんけど(爆) 見てもすぐに忘れるので,目にはいらないといったほうがいいかも。

一般的には30%を目安にする場合が多いようです。

知っている人には当たり前のことですが,降水確率を利用する上で注意しなければならないのは,あれは6時間ごとの予想だということです。例えば,06-12時,12-18時の降水確率がともに30%だとしても,06-18時に雨に遭う確率は30%ではありません。

2つの期間の確率が同じだとわかりにくいので,次の例で説明します。

12-18 20%
18-24 30%

このとき,12-18時と18-24時の両方の期間とも雨に遭わない確率は(1-0.2)×(1-0.3)=0.56,つまり56%です。したがって,12-18時の期間に雨に降られる確率は100-56=44%となります。(このように“余事象の確率”を使うと簡単です)

06-12時,12-18時の降水確率がともに30%の場合は,これが51%になります。30%を傘を持っていくかどうかの目安とする場合が多いのは,おそらくこのように“ブッ通し”の雨に遭う確率が50%を超えるからなんでしょうね。

ちなみに,この議論には12-18時に雨が降るという事象と18-24時に雨が降るという事象が独立であるという仮定があります。

北海道の梅雨の記録

今日の11時,東北北部の梅雨入りが発表され,「梅雨のない北海道を除いて日本列島が梅雨にはいりました」という表現をよく目や耳にしています。

私はこの表現に違和感ありありです。青森県までは梅雨があるのに津軽海峡をちょっと渡っただけでアッという間に(?!)梅雨がなくなるなんて,なんか変だとは思わないのでしょうか。もっとも,生物の分布では津軽海峡ブラキストン線ですし,ゴキブリの境界線もかつては津軽海峡だといわれていましたけど。

北海道でもとくに南部では梅雨のような現象があります。ただ,期間も短く,ハッキリしない年もあります。そのため,気象庁では北海道の梅雨入り・梅雨明けを発表していないのです(北海道の梅雨入り・梅雨明けをなぜ発表しないのかについての気象庁の公式見解が見当たらないので,これはあくまで想像です。なんかで見たような気もしますが,さだかではありません)。ないのではなく,発表しない(してもしかたがない)だけです。

ちょっと前の資料には北海道にも梅雨入り・梅雨明けの記録があり,例えば1964年は梅雨入りが7月2日,梅雨明けが7月24日になっています。

“梅雨のような現象”はあくまで“梅雨のような現象”であって“梅雨”とは違うという反論も聞こえてきそうですが,それをいったら,同じ梅雨でも沖縄や奄美と関東・東北では全然違うといってもいいくらい違います。梅雨前線の構造からして違うといえます。

一般に梅雨は太平洋高気圧とオホーツク海高気圧との間に梅雨前線が停滞し,日本列島に雨を多く降らせる現象……と説明されますが,これは一部の現象の表面的な説明に過ぎません。そんなチンケな現象ではなく,チベット,東南アジアからインド洋,アフリカ東岸まで広がる壮大な現象の一部です。それを今年の ××地方の梅雨入りは何月何日で平年より何日早いとか遅いとかにこだわるなんて,なんかみみっちい気がします(笑)

ついでにいうと,チベット高原によって南北に分流した上空約5700m付近の北側の流れが蛇行してオホーツク海高気圧を形成することがあります。したがって,本州以南が梅雨でジメジメしている時期に北海道でさわやかな晴天になるのは,梅雨と無関係ではありません。

今日の新聞の見出しから(6月16日)

  • 10月11日(開会式)―25日 IOC理決定 東京オリンピック (1961年 朝日)
  • 「五輪会期15日案は日本にも有利」 津島会長ら帰る (1962年 朝日)
  • 「あいりん」と改称 釜ヶ崎 取締まりは強める (1966年 朝日)
  • 雷雨が急襲 停電や浸水騒ぎ 東京駅に落雷 特急も遅れる (1967年 朝日)
  • あの手この手…気象ビジネス――天気予報「自由化」1か月を追う (1995年 毎日)