犬もネコ同様,ストーブをひっくり返したりして火事を起こしたことがあります。でも,犬やネコには放火しようという意図があるわけではなく,ましてマッチやライターで放火したりはしないので,人間が気をつけていれば防げる火事でしょう。
というわけで,前回のネコに続き今回は犬の活躍。
以前は犬は外で飼われていたことが多いので,隣家の火事を発見するというケースが多かったように思えます。
1989年10月8日,あの音楽(♪ティーラリララリララーン~)が聞こえてきそうな葛飾柴又で,向かいのアパートの住人の天ぷらなべの不始末による出火を,ボヤで食い止めました。
八日午後七時すぎ,葛飾区柴又四丁目。会社員末松正紀さん方で食事中,愛犬のエス(雑種,オス,六ヵ月)が激しくほえるので妻恵美子さんが外に出たところ,道路をはさんで前にある木造二階建てアパートの一階の窓から炎が噴き出しているのを見つけた。長女祥子さんが,一一九番通報する一方,正紀さんらは消火器を持ってかけつけ,ボヤで消し止めた。
金町消防署の調べでは,このアパートの住民が天ぷらなべをガスコンロにかけたまま外出したためとわかった。
同署は九日,末松さん一家に感謝状を贈ると共に,エスにもドッグフードをプレゼントした。(10月10日付朝日朝刊)(※必要ないかも知れませんが,個人名は仮名にしてあります)
1990年2月1日には処分されかけた犬が火事を知らせるお手柄でした。
一日午前六時ごろ,中央区勝どき三丁目,印刷業手束輝永さん(54)方で,飼い犬のタロウが激しくほえ出し,不審に思った手束さんが起きてみると,道路斜め向かいの木造三階建て作業所兼宿舎の換気せんから炎が噴き出していた。妻啓子さん(53)が一一九番通報して,ボヤで食い止めることができた(2月2日付朝日朝刊)(※必要ないかも知れませんが,個人名は仮名にしてあります)
このタロウは3,4年前,保健所で処分されかける寸前に引き取った8歳のオスで,ふだんはおとなしい犬だったそうです。ちなみに,他に3匹の犬がいましたが,ほえたのはタロウだけだったとのこと。
一方で,火事を知らせた犬が焼死してしまうという悲しいことも起こっています。
1994年3月29日,江東区で起こったアパート火災。このアパートに住むSさんの愛犬チャミー(メス5歳,パピヨン種)はほえ続けて火事をSさんに知らせ,それによってアパートの住人は全員無事避難できましたが,チャミーは焼死してしまったそうです。「チャミーの活躍は飼い主と犬の強いきずなの表われ」として(社)日本愛玩動物協会に表彰されましたが,表彰されてもねぇ……(;_;) 「虹の橋」で待っていてくれるのでしょうけれど。
去年あった介助犬の悲しい活躍。場所はアメリカ・ウィスコンシン洲。
米ウィスコンシン州南東部ラインで15日、足の不自由な女性宅で火事があった際、女性を助けた介助犬が猫を救おうと燃える家に戻ったが、猫ともども助からなかった。
AP通信が火事でやけどをした女性(49)の話として伝えたところによると、飼い猫が居間のテーブルのろうそくを倒し、燃え広がった。交通事故で片脚を失った女性はソファでテレビを見ていて義足が手元になく、動けない状態になった。
13歳のメスの介助犬ジェシーが、義足と電話を運んできた。女性はジェシーに伴われて外に逃げ、緊急電話をかけた。その時、2階でろうそくを倒したのとは別の飼い猫の鳴き声がした。ジェシーは助けに家に入った。ジェシーも猫も、出てこなかった。
UPI通信によると、女性は病院で「(ジェシーを)つかもうとする前に、もう2階に駆け上がっていた。何度も何度も叫んだが、鼻を鳴らすのが聞こえ、それっきりだった」と話した。(asahi.com 2006/10/19(Thu))