暦の上の入梅

きょうは“暦の上の入梅”です。

(暦の上の)入梅は八十八夜や半夏生など“雑節”といわれるもののひとつで,現在は“太陽が黄経80°を通過する日”とされています。例年6月11日ごろが入梅になります。東日本あたりの実際の梅雨入りとあまり変わらないのは,もちろん偶然ではなく,それに近くなるように決めたからでしょう。

江戸時代には,二十四節気の「芒種」のあとの最初の壬《みずのえ》の日が入梅とされていました(異説もあります)。この規則を今年にあてはめると,6月11日が“暦の上の入梅”になります。

この入梅が実際の雨の季節のはじまりと異なることも珍しくなかったようで(当たり前といえば当たり前ですが),西川如見という人の『百姓嚢』は,農民たるもの暦に頼りすぎて田植えの時機を逸することがないようにせよと注意を喚起しているそうです(『現代こよみ読み解き事典』(柏書房)より)。

ところで,暦をつかまえて今日から春だの今日から秋だの……が好きなマスコミが,なぜか入梅についてはあまり暦をもちださないのは不思議です。

しかし,気象庁の梅雨入り発表が今のような気象情報という形で行なわれていなかったころは,新聞などでも暦の上の入梅を話題にしていました。例えば,1958年6月11日付朝日新聞朝刊に

きょう入梅 本格的な雨は20日ごろから

とあります。

最近でも,実際の梅雨入りと暦の上の入梅を比較して,次のように取り上げられることはあります。(2002年6月11日中国新聞

山口県が梅雨入り 昨年より20日遅れ

下関地方気象台は十日、山口県内が梅雨入りしたと見られる、と発表した。平年より五日、昨年より二十日遅かった。暦の上では、きょう十一日が入梅。


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