与禰姫が圧死

天正十三年十一月二十九日(1585年),畿内・東海・東山・北陸諸道で大地震が発生しました。
天正地震です。震源域は白川断層で,マグニチュードは7.8とされてきましたが,
複数の断層が同時に動いたもっと規模の大きい地震だったという説もあります。

大河ドラマ功名が辻」で与禰姫が圧死したのがこの地震です。σ(^^;)は予告編しか見ていませんが。
他に大河ドラマ関係では,越中国の木舟城が倒壊し,城主前田秀継夫妻など多数が死亡しました。前田秀継は前田利家の弟です。ただし,
利家とまつ」でこのシーンがあったかどうかは知りません。見ていなかったので。

さて,当時,現在の岐阜県北部,白川郷のほぼ中央の帰雲《かえりぐも》とよばれる地域に,勢力を誇っていた内ヶ島氏の居城,
帰雲城《かえりぐもじょう》がありました。帰雲城はこの地震によって生じた大規模な土石流に巻き込まれ,
城下町もろとも土砂深く埋まったといわれています。

内ヶ島氏は金山を開発していたといわれ,実際かなり潤っていたそうです。このため,帰雲城とともに莫大な財宝が埋まっている……
という財宝伝説があります。

しかし,いまだ財宝発掘に成功した人はいないようです。川口探検隊も藤岡探検隊も,訪れたという話は聞いたことがありません。
それもそのはず,帰雲城がどこにあったのか,またどこに埋まっているのか,わかっていないという話です。

そういえば,数年前,帰雲城の財宝伝説をめぐるサスペンスドラマが放送されました。何というドラマだった気にはなっているのですが,
思い出せないし,検索しても見つかりません。実はそのドラマでこの財宝伝説を知ったのでした(笑)

11月29日の他の事件――:

AD1980/11/29 川崎市の予備校生,一柳展也が両親を金属バットで撲殺=金属バット殺人事件

AD1987/11/29 大韓航空機,ビルマ沖でバンコク空港と交信後消息を断つ

AD1992/11/29 第12回ジャパンカップトウカイテイオーが優勝。父シンボリルドルフに続き父子2代制覇

AD2003/11/29 イラク北部のティクリート付近で午後5時ごろ(現地)バグダッドの日本大使館所有の乗用車が襲撃され,
2人の日本人外交官が殺害される

津軽にはホントに“七つの雪”が降るのか?

新沼謙治さんが歌った「津軽恋女」(古い歌ですが)の中に

♪津軽には七つの 雪が降るとか
こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪
みず雪 かた雪 春待つ氷雪

という歌詞があります。

この“七つの雪”の出典が太宰治『津軽』であることはよく知られています。その『津軽』では,巻頭に「津軽の雪」としてこの“七つの雪”が並べて書いてあり(ただし順序は“こな雪,つぶ雪,わた雪,みづ雪,かた雪,ざらめ雪,こほり雪”),最後に「東奥年鑑より」とあります。

その『東奥年鑑』(1941年)を見てみると,「積雪ノ種類ノ名稱」として次のように説明されています(ほぼ原文のまま。ちなみに,国会図書館ではこの書物は破損防止のために複写禁止なので,手で書き写しました(笑))。

こなゆき 濕氣の少い輕い雪で息を吹きかけると粒子が容易に飛散する
つぶゆき 粒状の雪(霰を含む)の積つたもの
わたゆき 根雪初頭及び最盛期の表層に最も普通に見られる綿状の積雪で餘り硬くないもの
みづゆき 水分の多い雪が積つたもの又は日射暖氣の爲積雪が水分を多く含む樣になつたもの
かたゆき 積雪が種々の原因の下に硬くなつたもので根雪最盛期以降下層に普通に見られるもの
ざらめゆき 雪粒子が再結晶を繰返し粒子が肉眼で認められる程度になつたもの
こほりゆき みづゆき,ざらめゆきが氷結して硬くなり氷に近い状態になつたもの

つまり“七つの雪”は降ってくる雪ではないのです。確かに,「かたゆき」なんて,降ってきたらちょっと恐そうな名前です。

『東奥年鑑』をよく見ると,続いて「降雪ノ種類ノ名稱」として次の4つが挙げられています。

こなゆき,つぶゆき,わたゆき,みづゆき

おわかりでしょう。ほんとうは津軽には四つの雪しか降らないのです(笑)