柱に傷をつけてはいけません(笑)

 

柱のきずは おととしの
五月五日の背くらべ
粽《ちまき》たべたべ 兄さんが
計ってくれた 背のたけ
きのうくらべりゃ 何のこと
やっと羽織の 紐《ひも》のたけ

海野厚作詞,中山晋平作曲の「背くらべ」です。子どものころから,どうして“おととし”なのか,
去年はどうして背くらべをやらなかったのだろう……
という疑問をもっていたのですが,メルマガを出していたころネタ探しのためにちょっと調べたことがあります。

ちまき食べ食べ背のたけを計ってくれた“兄さん”は作詞者の海野厚さんその人。静岡県出身で,当時は早稲田大学の学生だったそうですが,
“去年”は体調を崩していて帰省できなったため,弟たちの背のたけを計ることができなかったのだそうです。
そしてこの背くらべの次の年に肺結核で亡くなりました。享年28歳。

つまり“きのう”の背くらべが最後の背くらべだったわけです。そういうことを知って2番の歌詞を見ると,ノーテンキそうな歌詞の裏に,
この見慣れた景色を生きて再び見ることができるかどうか……という作者の漠然とした不安な思いが,
なんとなく隠されているような気がしないでもありません。まあ,なんとでもいえますが。それはともかく,
ゴールデンウィークなど存在しなかったその時代,(新)端午の節句に帰省するという習慣があったのでしょうか。謎は謎を呼びます。

どうでもいいですが,3月3日と5月5日は曜日が同じになります。ついでに7月7日も同じですが,4月4日の「オカマの日」
は残念ながら違います。