まぼろしの湖出現

台風が残した“湖”、奥日光に4年ぶり出現
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070915i404.htm

 ラムサール条約登録湿地の奥日光(栃木県日光市)にある小田代原(おだしろがはら)に、台風9号の大雨の影響で“湖”が4年ぶりに出現した。

 奥日光では、台風9号により557ミリの総雨量を記録。浸透しきれない雨水が草原の低地に約3ヘクタールの楕円(だえん)にたまった。「小田代湖」とも呼ばれ、4年前の台風では約5か月間、姿を見せていた。今回は「1か月は見られそう」(県立日光自然博物館)という。[読売新聞2007/09/15]

このような湖の出現ならばいいのですが(この程度の規模の水たまりで“湖”といえるかどうかは別として),かつて埼玉平野の南部に歓迎されない湖が出現したことがあります。

1947年9月中旬,カスリーン台風がやってきました。台風そのものは最盛期を過ぎていましたが,前線を刺激して関東地方と東北地方に大雨を降らせました。

15日の夜になって水位が急激に上昇した利根川では,16日00時20分ごろ,栗橋付近の右岸堤が大音響とともに決壊,濁流が土地の傾斜に従って南に流れはじめました。そして18日には東京都との境にある桜堤(桜土手)に達し,堰きとめられる形で湛水をはじめます。こうして琵琶湖の8倍という,巨大な面積の湖が出現したのでした。

湛水をこのまま放置すれば水没地域は増える一方,しかも桜堤が決壊すれば東京の下町が水没し,被害がどのくらい増えるか想像もつきません。果たしてどういうことに……? この続きは,首都を水没から守れ!!~1947年カスリーン台風~(http://www.notenki.net/location/other2.html#id0001)をご覧ください。

ホントは怖い台風中継

有名な台風中継の動画↓

YouTube – 阿部レポーターの台風中継(台風中継後スタスタ歩く)

最後の1~2秒によってそれまでの苦労が水の泡,ただのヤラセだったことがバレてしまいました。

人間が風の中で立っていることのできる限界は20m/s程度といわれていますが(体験済み(笑)),これはあくまで一様な空気の流れの中での話であって,実際の風にはいわゆる風の息があるために前後左右にゆさぶられることになります。これではバランスをとるのが精一杯で,とてもレポートなどできません。まあ,それでもレポーターはせいぜいマイクしか持っていないので楽でしょうが,川口探検隊的にいえば,真っ先に洞窟にはいらなければならないカメラマンや照明さんはどうなんでしょうねえ……。

結局,何か物体が飛んできたりする危険なども考えると,限界は10m/sってところではないでしょうか。いずれにしても“台風中継”ができるということはレポートできる程度の風しか吹いていないということであり,裏を返せば風は吹いているけれどもさほどでもないということを身をもって知らせているわけです。

この視点からすると,民放が好きこのんで「ものすごい風です!!」とかやっている台風中継はすべてヤラセだと思って間違いないでしょう。ギョーカイではヤラセではなくヤリというらしいです。

1965年9月18日未明,台風24号の取材のために東京・江東区方面に出動していたラジオ関東(現・ラジオ日本)の取材車が,記者やアナウンサーら6人を乗せたまま晴海埠頭から海に転落,全員死亡するという事故が起こりました。光る海面を舗装道路と見間違えたのだろうといわれていますが,全員が死亡したため真相はわかりません。ヤラセではない本当の台風中継がいかに危険なものかがわかります。

ほとんど同じですが,↓もご覧ください。
台風中継のヤラセ http://notenkiexpress.blog95.fc2.com/blog-entry-53.html
ついでに,秋雨前線と台風 http://notenkiexpress.blog95.fc2.com/blog-entry-341.html