台風15号列伝(2)

1961年の台風15号は8月15日21時,硫黄島の西方海上で発生しました。少し発達しながら北~北西に進み,宮崎上陸は時間の問題と思われましたが,宮崎市に接近するころから急速に衰え,上陸する前に弱い熱帯低気圧(死語)になりました。

最近ではまずお目にかかれない新聞記事。

ごく弱い台風とはいえ,まともに上陸すれば油断はできぬと警戒していた気象庁もいささか拍子抜けの形だった。(1961.08.18 朝日朝刊)

最近はほとんどワンパターンの記事しか見ないだけに,新鮮に映ります。

台風15号列伝(1)

台風15号Krosaが発生しました。Krosaはカンボジアの命名で“鶴”だそうです。

というわけで歴代の台風15号を見ていきましょう。題して台風15号列伝台風14号列伝とは違って,1回につき1個の台風を扱っていきます。まがりなりにでも“完結”するまでに何年かかるんでしょうねえ……?(笑)

ちなみに,台風15号といえばなんといっても洞爺丸台風(1954年)と伊勢湾台風(1959年)ですが,別に「本紀」として扱います。いつになるかわかりませんが。

そういうことで,列伝のトップバッターは1956年の15号。沖縄方面から日本列島の太平洋岸をなぞるように北上してきました。

高知・和歌山などに大雨を降らせたほかは,見かけの割には被害は少なかったのですが,9月27日07時20分ごろ,関西線の下り亀山発湊町行きの旅客列車が三重県鈴鹿郡関町付近を進行中,土砂崩れに巻き込まれて1両が10メートル下の加太川に転落,多く(10数人?)の死者を出しました。

この転落事故についてはざっと調べた程度では確かな資料が見つからず,死者の正確な数がわかりません。当時の新聞には「十数人が絶望」「助かったのは三人」とあります。直後(10月15日)に起こった参宮線六軒駅列車衝突事故のほうが大きかったこともあり,この転落事故は忘れられているようです。なお,参宮線六軒駅列車衝突事故については,Wikipediaをご覧ください。

台風15号は9月27日15時ごろ中心が東京付近を通過しましたが,風速は14m/s,最大瞬間風速も25.5m/s程度でした。