イブに水を差した台湾坊主

1972年12月22日の朝,台湾近海に発生した低気圧は,発達しながら北東に進み,東シナ海,紀伊半島沖を経て本州南岸を通り,そのまま東北東進を続けて大島付近に達した後,24日夜には房総沖に去っていきました。

この低気圧の影響で九州から関東の太平洋側を中心に,強風が吹き,大雨が降りました。

24日は日曜日。街中は本来なら賑わうはずですが,強い風雨のため,東京都心でもひっそりとしたイブの街になりました。

冷たい雨が横なぐりに降りしきった二十四日,クリスマス・イブの東京。銀座通りの歩行者天国は中止となり,いつもヤングであふれる新宿の“天国”は,人っ気がなく,クリスマス・ツリーが冷雨にふるえていた。
歩行者天国とイブが重なるので,ホクホクを予想していた表通りぞいの各店は大打撃だったが,それでもデパートは家族連れで大入り満員。とりわけ,おもちゃ売場はギュウギュウの人で,パパやママはだいぶ待たされ,下火のパンダに代わる抱き人形や着せかえ人形を買っていた。
(25日付毎日)

ところで,台湾近海で発生する低気圧を,かつては台湾坊主とよびました。新聞などにもたびたび登場し,台湾坊主といえば暴れん坊というイメージが定着していた用語でしたが,1975年3月に気象庁が「台湾低気圧」にいいかえるように部内に指示したことがきっかけで,マスコミなどでも使われなくなったようです。

ただ,気象庁では使わないというだけなので,民間人が使う分には別にかまわないでしょう。

そういえば,このブログの前身のようなメルマガ「能天気Express」を出していたとき,“台湾坊主”を使うたびに「台湾坊主は使用禁止になっています」とかいう内容のメールを送ってきたのがいました。無視していたらそのうち送ってこなくなりました。おそらく購読をやめたのでしょう。