大あわての彦星さん

七夕の前日の雨を“洗車雨”といいます。いつだったか,確か倉嶋厚さんが何かでいったのを聞いたことがあります。『雨のことば辞典』によると,

……七夕の前日,牽牛が年に一度の逢瀬に使う牛車を洗う水が,雨となって降ると言い伝えられている。七月七日,七夕の当日に降る雨とする説もある。

ええっ,彦星さんって歩いて白鳥のつばさを渡るんじゃなかったの!!

童謡「スワンのつばさ」に

あまの川です ぎんがです
スワンがつばさを ひろげます
わたりなさい わたりなさい
つばさの橋です わたりなさい

とありますし。確かに徒歩とはどこにも書いてないけど,白鳥のつばさを牛車が渡るってかなり無理がありそうな……。

それはともかく,一昨日昨日今日と雨が降っているところを見ると,彦星さん,気合いを入れて車を洗っているに違いありません。もしかして自己車検でもやっているのか。もっとも,水の使いすぎで地球にやさしくないですけど。

でも,待った!!

今日は五月二十六日,七月七日ではありません。フライングは別にかまわないけれど,月が出ていません。明かりがない真っ暗の中,いくら早くやりたい会いたいからって大あわてで不安定なスワンのつばさを渡るなんて危ないですよ。無理をすると

二十七日午前五時ごろ,天の川の河口付近に若い男性が浮いているのを,釣りに来ていた南斗六星さん(年齢不明)が発見した。男性はすでに死亡していたが,所持品などから彦星さんと判明した。

なんて新聞記事に……。

事故2倍保障で織姫さんには保険金がどっさり……。