いわゆる「命を守る行動」について

例えば今朝のNHKの大雨 気象庁が会見「命を守る行動を」 | NHKニュースより:

大雨 気象庁が会見「命を守る行動を」
2019年8月28日 7時08分

佐賀県と福岡県、長崎県に大雨の特別警報を発表したことについて、気象庁の梶原靖司予報課長は午前7時から記者会見を開き、「特別警報を発表した市町村ではこれまでに経験したことのないような大雨となっている。土砂崩れや浸水による何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高く、直ちに命を守るために最善を尽くす必要のある警戒レベル5に相当する状況だ。あらかじめ指定された避難場所に向かうことにこだわらず、川や崖から少しでも離れた近くの頑丈な建物の上の階に避難するなど、少しでも命が助かる可能性の高い行動を取ることが重要だ」と呼びかけています。

そのうえで「今後、ほかの市町村にも大雨の特別警報を発表する可能性がある。特別警報が発表されてからでは避難が困難になる。発表を待つことなく市町村の避難勧告などに従って緊急に避難してほしい。また、現在、早朝であることから、避難する際には周囲の状況を十分に確認してほしい」と呼びかけました。

このように,最近命を守る行動という表現をよく目や耳にします。

とはいっても,NHKだけのような気もするのですが,それは私がふだんはラジオといえばNHKかBBCかラジオたんぱ……ではなくてラジオNIKKEIか各地のコミュニティ放送しか聞かないせいかもしれません。

この「命を守る行動」ということば,以前はほとんど聞かなかったので調べてみたところ,私がストックしてあるデータでは2013年7月28日の次のNHKのWEBニュースがもっとも古いようです。

気象庁「直ちに命守る行動を」 NHKニュース
7月28日 13時2 分

今回の記録的な大雨について、気象庁の横山博予報課長は午後0時半から記者会見を開き、「山口県と島根県ではこれまでに経験のないような大雨になっている。命を守るための行動を今すぐ取ってほしい」と呼びかけました。

横山課長は大雨になった原因について、「高気圧の縁を回って流れ込む暖かく湿った空気と、日本海にある動きの遅い低気圧周辺を回る空気が、ちょうど山口県と島根県の県境付近に集まって雨雲が発達した。低気圧の動きが遅いので、雨が同じような場所で降り続いて大雨になったと考えている」と説明しました。
そのうえで、今回の大雨は去年7月の九州北部豪雨に匹敵し、来月から運用を開始する「特別警報」に相当すると述べました。この地域では、昭和58年に107人の死者・行方不明者が出た「山陰豪雨災害」が起きています。
気象庁は「自治体が発表する避難勧告などの情報に注意して直ちに避難所へ避難し、外出するのが危険な場合には2階に上がるなど家の中にとどまって安全を確保してほしい」と呼びかけました。

同日の次の毎日新聞の記事によると,気象庁が「直ちに命を守る行動を」と呼びかけたのはこれがはじめてらしいです。

記録的大雨:「命を守る行動を」 気象庁が初の呼び掛け
毎日新聞 2013年07月28日 21時26分(最終更新 07月28日 21時36分)

山口、島根県の豪雨を受け、気象庁は「直ちに命を守る行動を」と初めて呼び掛けた。従来の災害避難は、小中学校の体育館などへの移動が一般的だったが、「2階に移動する」などと例を挙げた。

死者・行方不明者27人を出した2009年の台風9号では、兵庫県佐用町で、夜間に避難所に向かう途中だった住民が、用水路に流されて死亡した。

これを契機に、避難のあり方が議論となり、町の検証委員会は「自宅や近隣の2階に避難する方が安全な場合がある」と指摘。中央防災会議の専門調査会も「その場にとどまる行動も有効」とした。6月に成立した改正災害対策基本法も、市町村長が屋内避難を指示できると規定している。

気象庁は今後もこうした呼び掛けを続けていくが、静岡大防災総合センターの牛山素行副センター長は「市民も普段から災害時にどう行動すべきか考えておく必要がある」としている。【飯田和樹】

気象庁や管区気象台,地方気象台が発表した気象情報は,例えば次のような感じで

記録的な大雨に関する全般気象情報 第1号
平成25年7月28日11時18分 気象庁予報部発表

(見出し)
山口県と島根県では、これまでに経験したことのないような大雨となってい
るところがあります。この地域の方は最大級の警戒をしてください。

(本文)
なし。
大雨と突風に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報 第4号
平成25年7月28日12時17分 福岡管区気象台発表

(見出し)
山口県萩市須佐では、28日12時00分までの1時間に観測史上最大の1
37.5ミリを観測しました。土砂災害や洪水害の危険度が高まっている所
があり、28日昼過ぎにかけて最大級の警戒をしてください。

(本文)
 九州北部地方では、湿った空気が流れ込んでいるため、大気の状態が非常
に不安定となっています。 
 このため、引き続き28日昼過ぎにかけて、局地的に雷を伴った猛烈な雨
の降るおそれがあります。
 山口県萩市須佐では、12時00分までの1時間に観測史上最大の137
.5ミリを観測しました。

 これまでの大雨で、山口県の中部と北部では、土砂災害や洪水害の危険度
が高まっています。引き続き28日昼過ぎにかけて土砂災害や洪水害に最大
級の警戒をしてください。
 また、局地的に積乱雲が発達し落雷や竜巻などの激しい突風の発生するお
それがあります。

<雨の予想>
28日の1時間雨量(多い所)
 山口県  100ミリ

<雨の実況>
7月28日00時から12時までの総降水量(アメダス速報値)
山口県
 山口市徳佐   309.0ミリ
 萩市須佐    290.0ミリ
 
<防災事項>
 土砂災害、低地の浸水、河川の増水やはん濫に最大級の警戒をしてくださ
い。
 落雷や竜巻などの激しい突風に注意してください。発達した積乱雲の近づ
く兆しがある場合には、建物内に移動するなど、安全確保に努めてください
。

 今後、地元の気象台が発表する警報や注意報、竜巻注意情報、気象情報な
どに留意してください。

 次の「大雨と突風に関する九州北部地方(山口県を含む)気象情報」は、
28日15時30分頃発表の予定です。

「命を守る行動を」みたいなことは書かれていません。おそらく“今では恒例となった異例の会見”でいわれたものと思われますが,残念ながら私のところには発表内容が残っていません。

ついでにこの日の地上天気図を載せておきます(気象庁の日々の天気図より)。

Image from Gyazo

このときの状況の詳細は気象庁 | 平成25年度災害時自然現象報告書にあります。ちなみに,上に書いた“今では恒例となった異例の会見”が行われたことがこの報告書に書かれています,

なお,この大雨では特別警報は発表されず,この年の9月16日にはじめて発表されることになります。

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