早すぎた“春一番”

春一番についてはいずれ詳しく書くこともあると思いますが,簡単にどういうものかというと,
現在では次のような基準が決められています。

立春から春分までの間で,日本海で低気圧が発達し,はじめて南寄りの強風(東南東から西南西,8m/s 以上)が吹き,
気温が上昇する現象

現在発表しているのは,本庁(東京),鹿児島,福岡,広島,高松,大阪,名古屋,新潟の各気象台です。
気象台によって若干基準が違うようですが,立春から春分までというのは共通しています。

“立春から春分まで”というのがポイントです。1日でも違うといくらそれらしくても春一番とは認定されません。

1988年の今日,東京で最大瞬間風速21.8m/s(SW)の風が吹き,最高気温も14.9℃(前日比+6.4℃)まで上がったのですが,
2日ばかり早かったため春一番にはならず,2月5日に最大瞬間風速23.0m/s(SW),
最高気温19.7℃(前日比+11.0℃)が観測され,こちらが春一番となりました。まあ,
確かに5日のほうが春一番らしいといえばらしかったのですけどね。

1986年には2月3日に最大瞬間風速15.7m/sの風が吹き最高気温も前日より5.3℃高い14.5℃まで上がりましたが,
たった1日違いで春一番とはなりませんでした。

現在のような基準ができる前はもっとおおらかで,1966年2月3日付朝日新聞夕刊に「18.9度 節分に「春一番」」
という見出しがあるように,節分に吹いたこともあります。ただし,この年の春一番の公認記録はなぜか2月10日となっています。
これはおそらく現在の基準で再鑑定されたものでしょう。