1912年9月22日,台風が四国東部に上陸し,近畿地方を通って若狭湾から日本海にはいり,海岸沿いを北上しました。
東京では23日未明から南よりの風が吹き荒れました。
廿二日夜の降雨は翌廿三日午前一時頃に至りて暴風雨に變じ更に午前八時頃よりは雨歇みて淒じき烈風となりたるが,市中は例に依りて各所浸水を見,家屋の潰倒夥しく或は煙突倒れ塀牆壞れ,或は庭樹,道樹の裂け又倒れたるもの無數,更に街頭に立てば電線切斷して網を投じたるが如く路上に散亂し,看板飛び街燈軒燈破れて光景音響共に慘憺たるものあり・・・・(9月24日付讀賣)
この暴風雨により,9月13日に心中を遂げた乃木希典の墓が被害を受けました。
昨夜來の暴風雨の爲め青山なる乃木大將の墓所は天幕を吹き拂ひ電燈を損じ恩賜其他の御榊等打倒されたるが直に多數の人夫を役して午後二時其修繕を了れり(同)