リンゴ台風と箱庭 (1991年)

1991年9月27日16時過ぎ,台風19号(Mireille)が中心気圧935mb,中心付近の最大風速50m/sという“非常に強い”勢力で長崎県佐世保市の南に上陸しました。その後,加速しながら日本海を北東に進み,28日08時ごろ965mbで北海道渡島半島に再上陸,28日15時に千島近海で温帯低気圧に変わりました。

Image from Gyazo

台風が非常に強い勢力で上陸し,勢力をほぼ維持したまま日本海を速い速度で北東に進んだため,沖縄から北海道まで全国で暴風が吹き荒れました。くわしくは気象庁の前線、台風第17、18、19号 平成3年(1991年) 9月12日~9月28日などを参考にしてください。

リンゴ台風

この台風はリンゴ台風とよばれています。青森県で収穫前のリンゴの70%以上が落下するという被害があったからです。ただ,農作物に限っても被害はリンゴだけではなかったにもかかわらずリンゴ台風とよばれる理由はσ(^^;)にはわかりません。σ(^^;)的にはもっともしっくりくる通称ではあります。

台風の暴風にもめげずに落下しなかったリンゴの一部は落ちないリンゴとして受験生のお守りに珍重されていました。

当時受験屋だったし,近くの神社(谷保天満宮=通称ヤボ天)でも発売されていたので,よくおぼえています。値段はたしか悪税込みで1000円程度だったような記憶があります。あくまでお守りなのでリンゴとしては高めでした。ご利益があったかどうかは……。

一方で,落果リンゴを買おうという運動もパソコン通信などで広がっていました。

ちなみに,現在は落ちないりんご有限会社落ちないりんごの登録商標になっているようです。

『箱庭』

広島県の宮島にある厳島神社は,このリンゴ台風によって当時の新聞によると「創建以来の天災」に見舞われました。中国新聞9月28日付夕刊には次のようにあります。

同神社では二十七日午後七時半ごろ,突風のため能舞台と能楽屋の柱が折れ倒壊。屋根がそっくり砂浜に座る形になった。・・(中略)・・また,回廊中央部にある平安時代に建てられた左右門客神社,国宝の左右楽房のうち西側楽房が流失,東側楽房も大きく傾いた。回廊もあちこちで床板がめくれ上がり,通り抜けができなくなったほか,本社祓(はらい)殿などの屋根の軒先が壊れた。

神社職員らの話では,午後七時過ぎから,回廊に海水が上がり始め,ピークの午後十時半ごろには水位が回廊の上八十三センチに達し,手の施しようがなかったという。

そして台風一過の翌日,事件がはじまります。

AD1991/09/28 台風19号で大損害を受けた厳島神社の大鳥居付近に,男の変死体が流れ着く(内田康夫『箱庭』)

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[2019/09/20] 画像へのリンクを修正

御嶽特別

一昨年まで中京競馬場で御嶽特別というレースが行なわれていました。

2013年度第3回中京競馬特別レース名解説(JRA)によると,

御嶽は、長野県と岐阜県の県境にある標高 3,067m の活火山。飛騨山脈南部にあたる。火口跡は残っていたが、昭和54年に有史以来初めて噴火した。中央火口丘の剣ヶ峰に御嶽神社があり、古代から信仰登山の対象とされている。

何年にはじまったかはわかりませんが,2013年まで行なわれていました。

日付 レース名 馬名 騎手 斤量   距離 馬場状態 走破タイム
130630 御嶽特別1000 サトノプリンシパル 武豊 54 1800 1506
120714 御嶽特H1000 ナムラビクター 和田竜二 54 1800 1518
090607 御嶽特別1000 アイノレグルス 中舘英二 57 1700 1449
080531 御嶽特別1000 アクセルファイヤー 武豊 55 1700 1440
070526 御嶽特H1000 キーンゲイル 四位洋文 56 1700 1449
060527 御嶽特別1000 セトノシェーバー 安藤勝己 57 1700 1456
050528 御嶽特H1000 スズジャパン 四位洋文 57.5 1700 1461
040529 御嶽特H1000 マルブツトップ 赤木高太 56 1700 1450
030531 御嶽特H1000 ロードプリヴェイル 武豊 58 1700 1429
020602 御嶽特H1000 ダイタクギンガ 吉田稔 57 1700 1456
010519 御嶽特H900 シャンハイブルース 小林徹弥 57.5 1700 1457
000520 御嶽特H900 セフティージャパン 上村洋行 54 1700 1469
990417 御嶽特別900 スナークレイアース 河内洋 56 1700 1464
980411 御嶽特H900 ジョーヤマト 須貝尚介 55 1700 1459
970316 御嶽特別500 アイリッシュライン 嶋田高宏 56 1200 1117
960317 御嶽特別500 セントパレー 幸英明 56 1200 1110
950319 御嶽特別500 スリーエフ 大崎昭一 54 1200 1104
940911 御嶽特別900 ルシールシーダー 田原成貴 55 1200 1088
920620 御嶽特別900 オースミプリンス 武豊 57 2000 2015
910629 御嶽特H900 ヤクモサクセス 丸山勝秀 56 2000 2011
900623 御嶽特別900 キュリアシティー 村本善之 56 2000 1598
890625 御嶽特別900 ダイユウサク 熊沢重文 57 2000 2016
880626 御嶽特別900 ジョーグレゴリオ 山田和広 56 2000 2020
870628 御嶽特別900 タイアポロ 河内洋 57 2000 2018
860622 御嶽特H900 ターゴットターネル 原田雄二 53 2000 2043

去年行なわれなかったのは噴火があったからではなく,もともと予定がなかったようです。なぜ予定がなかったのかはわかりません。上の表を見ても1993年,2010~2011年には行なわれていませんが,その理由もわかりません。

まあ,今後しばらくは行なわれないであろうことは容易に想像できます。

ちなみに,笠松競馬場では御岳特別というレースが行なわれていました。

なお,上のリンク先にある東京競馬場でかつて行なわれていた御岳特別の御岳は《みたけ》と読みます。青梅市にある山で,去年噴火した御嶽山とは関係ありません1

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  1. 山岳信仰とか文化史的な関係はあるかもしれませんが,私にはわかりません。 

今日の土曜ワイド劇場は終着駅シリーズ・善意の傘

今日の土曜ワイド劇場は「終着駅シリーズ・善意の傘」。サブタイトルは「雨の夜の殺人者!!迎えに来るはずの夫が殺された!!刑事が追う2組の夫婦のアリバイと嘘!?」。今回は「森村誠一作家50年記念」という冠がついています。

長く続いているシリーズです。露口茂さんでシリーズがはじまったのは1990年12月8日,片岡鶴太郎さんに替わったのが1996年1月27日です。ちなみに,これが鶴太郎さんの土曜ワイド劇場初主演でした。

安心して見られるので好きなシリーズですが,残念ながら尺が余って後半が退屈になることが多いです。とくに最近の作品にそれが顕著のような気がします。

このシリーズでとくに印象に残っているのは次の3つです。

  • 1997/03/22放送 街~新宿-伊豆連鎖殺人の謎! 天竜峡から来た女 真犯人も殺された…
  • 1998/11/28放送 駅~牛尾刑事,涙の捜査行 妻の姪が旅行先で殺された! 木曽,奈良井宿で何が起ったのか…
  • 2006/10/28放送 砂漠の喫茶店~雷雨の樹海で殺された女と失踪した女,愛犬の接点が真犯人を解く!

ちなみに,「街」はのちに月曜ミステリー劇場でリメイクされて放送されましたが,アレな印象しか残っていません。犯人も替わっていたようなおぼえが。公式サイトには

原作は97年3月に土曜ワイド劇場(テレビ朝日)でもドラマ化(片岡鶴太郎主演)されたが、今回の「街」は“2004年の今”に相応しく脚色したもの。

なんてエラそうに書いてあったりしたんですけどね。

「終着駅シリーズ・善意の傘」のあらすじ

テレビ朝日|土曜ワイド劇場より引用:

 東京・西新宿の空きビルで女性の絞殺死体が発見され、牛尾正直(片岡鶴太郎)ら新宿西署の刑事たちが臨場した。殺されていたのは、秋葉千恵子(川上麻衣子)という主婦で、夫の武士(小木茂光)によれば、千恵子は生命保険会社の営業職でトップの成績を誇っていたが、3カ月前に仕事を辞め、現場となった空きビルを買い取ってビューティーサロンを開く予定だったという。
 携帯電話の通話記録から、被害者は午後8時16分にかかってきた電話に出ていることが判明、その直後に殺されたものと思われた。だが、最後の通話相手の名を聞いた牛尾は驚く。その女性、山野京子(葉月里緒奈)は1年前、突然の雨に困惑する牛尾に傘を差し掛けてくれた善意の人物であり、牛尾と出会ったその夜に夫を何者かに殺されていたのだ…。

 1年前、知人の通夜に参列するため、都内近郊の駅に降り立った牛尾を突然の雨が襲った。駅には“善意の傘”と書かれた傘立てが設置されており、残っていた最後の赤い傘を先に手に取った京子が、困っている牛尾を見かねて差し掛けてくれたのだった。
通夜の会場が通り道ということで、相合い傘で歩く間、京子は同じような雨の日に夫・和正(山口馬木也)と初めて出会ったことなどを話す。しばらくすると京子の携帯に夫から電話が入り、「これから駅に迎えに行く」と言われたため、駅まで戻るという。「その傘、返しておいて下さいね」と牛尾に傘を渡し、京子は笑顔を浮かべて小走りに去った。
 だがちょうど同じ頃、京子の自宅では和正が何者かに撲殺されていた。数日後、小金井北署の川合刑事(ダンカン)の訪問により事件を知った牛尾。川合によると、牛尾と一緒のときに彼女にかかってきた電話が、和正の最後の通話だったとのことだった――。

 そんな1年前の出会いを思い返しながら、千恵子が殺害された事件の聞き込みのため、京子のもとを訪ねた牛尾。京子は半年前に勤めていた銀行を辞め、ファイナンシャルプランナーとして独立、かつて夫と暮らしていた家はそのままに、事務所兼用でこの都心のマンションを借りているという。京子は、千恵子は元の家の近所に住んでいた友人で、確かに昨夜8時過ぎ、彼女に電話をかけたと話す。用件は、千恵子が購入する予定のビルの契約についての確認だったという。念のためとアリバイを問う牛尾に、昨夜は知り合いの美容師と食事をしていたと、京子は答えた。
 京子のアリバイは成立、彼女への疑いは晴れたかに思えた。だが、そのとき牛尾の電話が鳴った。小金井北署の川合刑事からで、実は空きビルで殺された千恵子は、京子の夫・和正殺害事件の第一発見者だったというのだ。1年前の殺人事件の第一発見者が今度は殺人事件の被害者となった…。そればかりか、和正の事件も千恵子の事件も京子の証言によって殺害時刻が断定されている…。牛尾の胸に京子への疑惑が広がった。
 坂本課長(秋野太作)から2日間の猶予を与えられた牛尾は、京子を調べはじめる。すると、彼女が夫・和正から暴力を受けていたこと、京子と千恵子の夫・武士の間に不倫の噂があったことがわかって…!?

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9月26日付北海道新聞の予知能力!?

ときどき,やれ大地震が来るとか1,“巨大”台風がやってくるとかあおり立てる週刊誌の中吊り広告が目につきます。まあ,週刊誌の科学記事なんて芸能記事と同程度のレベルですが,最近はアベさま皆さまのNHKでもそのような番組が繰り返し繰り返し放送されます。

週刊誌のヨタ記事やNHKの煽り番組に比べると,北海道新聞には予知能力があるように見えます。

まず,1954年9月26日付の北海道新聞の記事――:

青函海底トンネル 基礎的地質調査終る 掘削可能の結論

この日,まさか津軽海峡でのちに洞爺丸台風と名づけられる台風15号マリーによって世界海難史上2番目といわれる大海難事故が起こるとは……。

ついで2003年9月26日付の北海道新聞「卓上四季」――:

……自然の猛威の前に人間が非力であることを自覚しつつ,気象監視と災害の備えを万全に。洞爺丸台風が語る教訓は今なお新しい。

この日,まさか平成15年(2003年)十勝沖地震が起こるとは……。

ちなみにこの日の朝,6時30分からの「ラジオ体操」が中止になりました。おそらく津波警報が出ていたからでしょう。

そして2004年9月26日付の同じく北海道新聞「卓上四季」――:

九月二十六日は過去に三度の大災害が起きている。一九五四年の洞爺丸台風,五八年の狩野川台風,五九年の伊勢湾台風である。いつしかこの日は「大型台風の厄日」といわれるようになったそうだ……

幸か不幸か,とくに大きな災害は起こらなかったようです。

“予知能力”のタネは……かんたんです(笑)

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  1. “地震が来る”って表現,きわめて違和感があるのですが。