函館大火と函館颴風

次は1934年3月21日18時の地上天気図です。なんかすごそうな低気圧があります。中心気圧724粍1≒965hPa程度でしょうか。

この直後,函館で火災が発生しました。天気図から想像できるように強風にあおられ,火はみるみる燃え広がります。

函館大火 – Wikipediaより一部引用:

当日、北海道付近を発達中の低気圧が通過し、函館市内は最大瞬間風速39mに及ぶ強風に見舞われていた。早春の日が落ちて間もない午後6時53分頃、市域のほぼ南端に位置する住吉町で1軒の木造住宅が強風によって半壊し、室内に吹き込んだ風で囲炉裏の火が吹き散らされ、瞬く間に燃え広がった。さらに強風による電線の短絡も重なり、木造家屋が密集する市街地20箇所以上で次々と延焼したため、手が付けられない状態となった。時間の経過とともに風向きは南から南西、そしへ西風へと時計回りに変っていったため火流もそれに従い向きを変え、最終的には市街地の1/3が焼失する規模となった。死者の中には、橋が焼失した亀田川を渡ろうとして、あるいは市域東側の大森浜へ避難したところ、炎と激浪の挟み撃ちになって逃げ場を失い溺死した者(917名)、また溺死しないまでも凍死した者(217名)もいた。

そして,死者2166人,焼損棟数11105棟を数える大惨事となりました。

この函館大火の記録映像があります。

低気圧はさらに発達しながら北東に進み,12時間後の22日06時には中心気圧704粍≒938hPaまで発達しました。12時間で約27hPaも中心気圧が下がったわけで,今流にいえば爆弾低気圧です。当時は低気圧ということばも一般化してはおらず,温帯低気圧は(大陸)颴風とよばれていました。ちなみに,“颴”はShift_JISにはなく,メルマガを出していたころは青空文庫風に<風|旋>と書いていました。

そういえば去年の12月16日,次の17日09時の予想天気図を見て,こんな低気圧見たことない,などとツイートしていたお天気キャスターがいましたが,函館颴風は宮澤清治『近・現代日本気象災害史』にも載っていることですし,不勉強のそしりを免れないでしょう。

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  1. 粍=mmHg,760mmHg=1013.25hPa。